2023.07.21
カテゴリ:セミナー
タグ:外国人材採用
外国人雇用に活用できる助成金6選!詳細や利用する際の注意点を解説人手不足の対応策として、外国人の雇用を考えている事業者の方もいますよね。しかし、文化の違う外国人を受け入れるためには、さまざまなコストがかかることもあります。
外国人を雇用する際には、助成金を上手に活用すると負担を減らしながら環境を整えられるのです。
そこでこの記事では、外国人雇用で活用できる助成金の種類を紹介。さらに、助成金を活用する際の注意点も紹介します。外国人雇用を考えている事業者の方はぜひご覧ください。
外国人雇用で活用できる助成金の種類
外国人を雇用すると、助成金を受け取れることがあります。とはいえ、多くは外国人の雇用に限ったものではなく、国籍を問わず使えるものです。
外国人雇用で活用できる助成金には、次のようなものがあります。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
- 雇用調整助成金
- キャリアアップ助成金
- 業務改善助成金
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
- 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
それぞれ、詳しく解説します。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行に不慣れであるため、労働条件に関する交渉や解雇などのトラブルが生じやすい現状があります。その問題を解決するために設けられたのが、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)です。
人材確保支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を利用すると、外国人が働きやすい環境を整えるための次のような経費に対して助成金が支給されます
- 通訳費
- 翻訳機器導入費
- 翻訳料
- 弁護士や社会保険労務士等への委託料
- 社内標識類の設置・改修費
人材確保支援助成金には賃金要件が設けられています。賃金要件を満たしている場合と満たしていない場合で、助成金の支給額は次の通りです。
賃金要件を満たしているか |
支給対象経費の割合 |
上限額 |
満たしていない |
1/2 |
57万円 |
満たしている |
2/3 |
72万円 |
参考:厚生労働省|人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、経済の変動や産業構造の変化などにより事業活動が縮小した場合に支給される助成金です。一時的に従業員を休業させるなどの雇用調整を行う事業主が、その間の労働者の賃金(休業手当)を支払うための費用が助成されます。
雇用調整助成金の支給額は次の通りです。
|
中小企業 |
中小企業以外 |
休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成率 |
2/3 |
1/2 |
教育訓練を実施したときの加算(1人1日当たり) |
1,200円 |
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。正社員化や処遇改善の取り組みを行った事業主に対して助成金が支給されます。
キャリアアップ助成金には、複数のコースがあります。コースの内容と支給額は次の通りです。ただし外国人の場合、在留資格が「技能実習生」もしくは「特定技能1号」の場合には正社員化コースの対象外となるため注意してください。
コース |
内容 |
支給額 |
正社員化コース |
有期雇用労働者等を正社員化する場合の助成金 |
一人当たり最大57万円 |
障害者正社員化コース |
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換する場合の助成金 |
一人当たり最大120万円 |
賃金規定等改定コース |
有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定を3%以上増額改定し、その規定を適用する場合の助成金 |
一事業所当たり最大360万円 |
賃金規定等共通化コース |
有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用する場合の助成金 |
一事業所当たり最大72万円 |
賞与・退職金制度導入コース |
有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給又は積立てを実施する場合の助成金 |
一事業所当たり最大40万円 |
短時間労働者労働時間延長コース |
有期雇用労働者等の週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用する場合の助成金 |
一人当たり最大28.4万円 |
業務改善助成金
業務改善助成金とは、労働者の働きやすい環境を作るために企業が業務改善を行う際の費用を助成する制度です。これにより、企業は労働者の健康や生産性の向上を図れます。
業務改善助成金の対象となるのは次のような企業です。
- 中小企業や小規模事業者
- 働き方改革に取り組む企業
- 労働者の健康を守るための取り組みを行う企業
次のような、労働者の健康を守るもしくは働き方改革に関連する業務改善が、助成金の対象となります。
- 労働時間の短縮
- 休憩時間の確保
- 適切な労働管理の実施
助成金の金額は、業務改善の内容や規模により異なります。詳細は、厚生労働省のWebサイトを確認してください。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成する制度です。
条件を満たす人材のトライアルを受け入れた場合、最長3ヶ月間トライアル雇用助成金を受け取れます。支給額は、支給対象者1人の受け入れにつき月額4万円です。ただし、対象者がひとり親家庭の親である場合は1人につき月額5万円を受け取れます。
参考:厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
人材開発支援助成金(特定訓練コース)
人材開発支援助成金の特定訓練コースとは企業が自社の従業員に対して行う訓練を支援するための制度です。
人材開発支援助成金の特定訓練コースを利用すると、訓練費用の2/3(最大で訓練1時間あたり1,200円)が助成されます。中小企業者や女性・若者など特定の事業主に対しては、訓練費用の全額が助成される場合もあります。
訓練の内容は企業のニーズに応じて自由に設定可能です。ただし、新たな技術や知識を習得するためのものでなければなりません。
外国人雇用で助成金を活用する場合の注意点
外国人雇用で助成金を活用する場合、次のような注意点があります。
- 助成金を受け取るには条件がある
- 外国人を雇用するだけで受け取れる助成金はない
- 助成金でまかなえるのはかかった費用の一部のみ
それぞれ、詳しく解説します。
助成金を受け取るには条件がある
助成金を受け取るには、さまざまな条件があります。また、条件は助成金の種類によって異なります。
例えば業務改善助成金を受け取るためには、労働者の健康を守るもしくは働き方改革に関連するような業務改善を行わなければなりません。人材開発支援助成金の特定訓練コースでは原則として50人以上の事業所に所属している従業員でなければ対象とならないように、事業所の規模に関する規定が設けられている助成金もあります。
助成金を利用したいと考えたときには条件をよく確認し、自社の規模や取り組みが対象となるか確認しましょう。
外国人を雇用するだけで受け取れる助成金はない
外国人を雇用している場合に活用できる助成金は数多くあります。しかし、外国人を雇用するだけで受け取れる助成金はありません。
外国人を雇用し、かつ環境を整える、キャリアアップのためのトレーニングを受けさせるなど何らかの取り組みを行った場合に助成金の対象となります。外国人を雇用すれば助成金を活用できると、安易に考えることがないよう注意してください。
助成金でまかなえるのはかかった費用の一部のみ
助成金を利用しても、かかった経費をすべてまかなえるとは限りません。多くの場合、助成金として支給されるのはかかった経費の一部です。
例えば雇用調整助成金では、休業を実施した場合に受け取れる助成金の割合は従業員に支払う休業手当の2/3です。また、上限は対象労働者1人あたり8,355円と定められています。
助成金を活用できるといっても、一部の費用は企業が負担しなければならないことを把握しておきましょう。
外国人を雇用するなら上手に助成金を活用しよう
今回は、外国人を雇用する際に活用できる助成金について解説しました。
日本の企業が外国人を雇用する際、多くの助成金制度が利用可能です。ただし、助成金を受け取るためには、一定の条件を満たす必要があります。
また、助成金でまかなえるのはかかった費用の一部であり、全額をカバーするわけではありません。
外国人を雇用する際には、助成金制度を理解し上手に活用しましょう。