2023.01.22
カテゴリ:運行管理
タグ:介護
送迎加算とは?対象福祉サービスの種類と施設ごとの要件を解説障害者施設や介護施設の通所を必要とする福祉サービスでは、利用者が通いやすい環境を整備するために、施設への送迎をサービスに取り入れている事業所も多いでしょう。しかし、送迎は通常の支援業務にプラスアルファの要素であるため、「予算を割くことができない」と利益がギリギリの中実施されている事業所もあるでしょう。
そこで、利用者により良いサービスを提供することを目的に、利用者の通所のために送迎業務を行っている事業所では、算定単位の中に「送迎加算」を組み込むことができます。
しかし通常業務だけでも忙しい従業員に、送迎業務まで担当させてしまうと、疲れによる不注意や事故が起こる可能性もあります。従業員の負担を減らし安全に送迎を実施するためにも、送迎業務を外部に委託することも検討してみましょう。
今回は、送迎加算を算定できるサービスや要件、福祉業界で利用できる送迎委託について解説します。
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送迎加算とは
送迎加算とは、通所系の福祉介護施設などにおいて、学校や居宅等から事業所への送迎を行なった場合に、報酬単位を加算できる制度のことです。
加算は介護報酬と同じく1単位1円で計算でき、施設や加算の種類によって片道ごとに単位が決まっています。往復で送迎を行う場合には、1日2回分の送迎加算がつきます。
「居宅等」には、利用者の自宅以外に、自宅近辺の待ち合わせ場所や最寄駅などを指定しても構いません。また、ショートステイなどで利用者が自宅以外の場所に宿泊している場合には、宿泊場所までの送迎でも加算の対象となります。
送迎加算が適用となる福祉サービス
送迎加算を算定するためには、送迎業務を伴うサービスである必要があります。送迎加算の対象となるサービスは「成人対象の日中活動系サービス」「短期入所」「児童向けサービス」です。対象となる具体的なサービスは、次の表をご覧ください。
成人対象の日中活動系サービス |
・就労継続支援A型 ・就労継続支援B型 ・生活介護 |
短期入所 |
・短期入所生活介護 ・短期入所療養介護 ・介護予防短期入所生活介護 ・介護予防短期入所療養介護 |
児童向けサービス |
・放課後等デイサービス ・児童発達支援 |
送迎加算の要件
送迎加算の算定要件や単位の計算方法は施設によって異なり、次の3種類に分かれます。
- 就労継続支援A型・B型、生活介護
- 短期入所
- 放課後等デイサービス、児童発達支援
それぞれの要件や単位数について詳しく解説します。
就労継続支援A型・B型、生活介護の場合
就労継続支援A型・B型、生活介護など、成人を対象とした日中活動系のサービスでは、送迎加算の要件は次の通りです。
成人対象の日中活動系サービス |
送迎加算Ⅰ |
・1回の送迎につき、平均10人以上が利用している ・週3回以上の送迎を実施している ・上記2つの条件を「どちらも」満たしている |
片道21単位 |
|
送迎加算Ⅱ |
・1回の送迎につき、平均10人以上が利用している ・週3回以上の送迎を実施している ・上記2つの条件のうち「どちらか」を満たしている |
片道10単位 |
利用者が20人未満の事業所の場合は、平均的に定員の50%以上が利用していれば、1つめの条件を満たしたとみなされます。また、どちらの場合も、生活介護の送迎であれば送迎の利用者のうち区分5もしくは区分6に該当する利用者が6割を超えるとさらに片道あたり28単位が加算されます。
短期入所の場合
短期入所における送迎加算の要件は次の3つです。
- 1.送迎を行うことが必要と認められる利用者に対しての送迎であること
- 2.事業所の従業員が送迎すること
- 3.事業所と居宅の間の送迎であること
短期入所の場合には、送迎加算として片道あたり184単位が加算されます。
放課後等デイサービス、児童発達支援の場合
放課後等デイサービスや、児童発達支援などの児童向けサービスにおける送迎加算の要件は次の通りです。
共通 |
学校から施設への送迎 |
・保護者が就労などの理由で送迎できない ・スクールバスなどでの送迎ができない、または就学奨励費で学校と事業所間の送迎手段を確保できない |
|
居宅等と施設間の送迎 |
・保護者が送迎支援の実施に同意している |
||
送迎加算Ⅰ |
・利用者が障害児である |
片道54単位 |
|
追加要件 |
・送迎加算Ⅰを算定している ・利用者が喀痰吸引等が必要な児童である ・看護職員による送迎である |
片道37単位 |
|
送迎加算Ⅱ |
・利用者が重症心身障害児である ・送迎の際、運転手のほかに直接支援業務従事者を1人以上配置している |
片道37単位 |
同一敷地内での送迎の場合に加算される単位数は、それぞれの70%です。送迎加算Ⅰで追加要件に該当する場合には、さらに片道あたり37単位が加算されます。
送迎加算に関するQ&A
送迎加算をはじめとした報酬単位は、行政によって決められた要件を守らなければ申請することはできません。そこで、送迎加算を実施するにあたって、よくある疑問を集めました。
1.往復の送迎を行なった場合の送迎加算はどうなりますか?
片道で1回とカウントされます。往復で送迎した場合には2回送迎したとみなされるので、2回分の単位が加算されます。例えば、成人対象の日中活動系サービスで送迎加算Ⅰを算定する場合は、片道21単位、往復42単位となります。
2.徒歩で送迎を行なった場合も加算されますか?
送迎加算は、基本的には車両での送迎を対象としています。そのため、徒歩での送迎は加算の対象となりません。ただし、細かい条件は自治体によって異なりますので、詳細は各自治体に確認してください。
3.送迎加算と利用者への実費請求を同時に行ってもよいですか?
送迎加算とは別に利用者に実費を請求してよいかどうかは、自治体によって異なります。一部自治体は、「燃料費等の実費が送迎加算の額を超えている場合は、利用者からの実費分について負担を求めることができる。」としていますが、利用者が負担している場合は加算を認めないとする自治体もあります。条件によっても異なる場合がありますので、詳細は各自治体に確認してください。
4.送迎加算の届出は必要ですか?
送迎加算を利用するには届出が必要です。届出用紙のフォーマットは自治体の公式サイトにフォーマットを掲載しているので、利用する際には確認してみてください。
5.送迎を外部に委託してもいいですか?
送迎業務の外部委託が可能なケースもありますが、自治体によって規定が異なります。詳細は、各自治体に確認してください。
外部委託が可能なら、スタッフの負担を少しでも軽減するために、送迎代行を利用するといいでしょう。運用方法や負担額の相談もかねて、弊社にご連絡ください。
6.別の施設への送迎でも加算されますか?
自事業所から別の施設への送迎の場合、送迎加算はつきません。送迎加算の要件は、「居宅等から事業所までの送迎の場合」に加算されるからです。ただし、集合場所として定めた場所への送迎であれば、必ずしも自宅からの送迎でなくても構わないため、実質可能となるケースがあります。集合場所は、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 事前に利用者または保護者の同意を得た場所であること
- 特定の場所を定めていること
7.送迎の記録は必要ですか?
送迎加算の算定には、送迎の記録を残しておく必要があります。送迎記録簿などを用意して、日々の送迎について記録しておきましょう。記録簿には、次のような内容を記載しましょう。
- 担当者
- 送迎対象者
- 送迎場所
- 時間
記録すべき内容は、自治体によって異なる可能性があります。記録簿を作成する際には、一度自治体に相談しておくと安心です。
利用者送迎に必要なこと
利用者の送迎をする場合、次のような点に考慮する必要があります。
- 運転手の採用・管理・教育
- 車両の整備・管理
- 感染症対策
- ドライバーが欠勤した際の対応
- 事故の対応
送迎車両のドライバーは、安全に運転できるだけでなく、利用者に気持ちよく送迎の時間を過ごしてもらえるような対応ができる人を選ばなければなりません。採用段階で対応できそうな人を選ぶのはもちろん、その後の教育も重要です。
また、安全に送迎車両を運行するためには、日々の整備や管理も欠かせません。消毒や清掃などの感染症対策も必要です。ドライバーが体調不良などで欠勤してしまっても送迎できるよう、突発的な事態にはどのように対応するか考えておく必要もあるでしょう。
送迎車両を運行するのであれば、交通事故への対策も避けては通れません。保険で損害賠償や車両の故障に対応できるよう準備しておくのはもちろん、万が一の事故でどのように対応すべきかドライバーや職員に教育しておかなければなりません。
また、医療・介護施設の送迎では、乗降者の際に介助が必要なケースもあります。他の施設と比べて、特に転倒事故に注意が必要な施設もあるでしょう。
一言で送迎車両を運行するといっても、上記のように準備や配慮が必要な項目は多数あります。
医療・介護施設送迎に強い送迎のアウトソーシングがおすすめ
自社で送迎車両を運行する場合、前項で解説した項目にすべて対応しなければなりません。施設によっては、さらに多くの配慮が必要になるケースもあるでしょう。普段の業務に加えて送迎業務が増えると、負担がかかってしまいます。
送迎業務をアウトソーシングすれば、管理や運行の負担を減らせます。運転手の採用や教育に手間がかからないのはもちろん、車両の整備や管理の手間も必要ありません。
ドライバーが欠勤した場合には代理のドライバーが派遣されますし、事故の際の対応も受託会社が行います。送迎に関する業務を減らせば、本来の業務に集中し、より良いサービスを効率良く提供できます。
医療・介護施設の場合、そうした施設の送迎に強い業者を選ぶのがおすすめです。送迎の際特に配慮が必要な医療・介護施設であっても、介助研修を受けたドライバーがいれば施設スタッフ・利用者ともに安心して送迎サービスを利用できるでしょう。
まとめ◆送迎加算について知っておこう
利用者へのサービス向上のために障害者施設や介護施設で送迎を行うと、送迎加算を算定できる場合があります。送迎加算によって加算される単位は事業所や利用者の状況によって異なります。送迎加算を利用するには届け出が必要です。
この記事を参考に、事業所で送迎加算の制度を利用できるか、どのくらいの加算があるのかを確認してみてください。
もし現状、送迎業務がスタッフの負担となっている、外部に委託したいと考えているなら、ルート作成の運行管理から実際の送迎業務までワンオペで依頼できるビジネスサポートにご相談ください。
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