2024.10.15
カテゴリ:運行管理
タグ:ノウハウ
EVバスとは?事業者にとってのメリット・デメリットを解説EVバスの導入を検討されている方の中には、「本当に導入すべきか」「どんなメリットがあるのか」といった疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。この記事では、EVバスのメリットや課題について詳しく解説します。
この記事を読み進めることで、EVバスがどのように環境保護やコスト削減に貢献できるのかを理解し、導入のメリットと課題をバランスよく把握できるでしょう。
この記事を参考に、自社でEVバスを導入すべきかどうか検討してみてください。
EVバスとは
EVバスとは、電力で走るバスのことです。従来のバスがガソリンや軽油を燃料として使用するのに対して、EVバスはバッテリーを搭載しており、電力でモーターを回して走行します。100%電力で動くことがEVバスの最大の特徴だといえるでしょう。
ガソリンや軽油を使用しないことから、走行中に二酸化炭素や有害な排気ガスを排出しないため、環境に優しい乗り物として注目されています。
また、従来のバスでは走行時に騒音が発生することも問題となっています。EVバスは静音性に優れているのも特徴で、特に騒音が問題になりがちな都市部での活用が期待されているのです。
EVバスは、環境保護や騒音防止の観点から非常に注目されている乗り物です。
EVバスのメリット
EVバスには、次のようなメリットがあります。
- CO2の削減
- 騒音の低減
- ランニングコストの削減
- 補助金制度の充実
- 社会的イメージの向上
それぞれ、詳しく解説します。
CO2の削減
CO2排出量の大幅な削減は、EVバスにおける最大のメリットだといえるでしょう。EVバスは燃料を使わずに電力だけで動くため、走行中に温室効果ガスを排出しません。そのため、従来のバスに比べてCO2の排出量を削減できるのです。
現在使われている多くのディーゼルバスがEVバスに置き換われば、日本だけでも非常に大きなCO2排出量の削減につながるでしょう。地球の温暖化が問題となっている現在、EVバスは環境保護のための有効な乗り物として期待されています。
騒音の低減
EVバスは、ディーゼルバスと比較して騒音が非常に少ないことが大きなメリットです。電気モーターで走行するためエンジン音や振動がほとんど発生せず、都市部や観光地での騒音公害を大幅に軽減します。騒音の低減は、都市の住民や観光客にとって快適な環境を提供するうえで大変重要です。
例えばヨーロッパの観光地では、静音性に優れたEVバスがすでに採用されています。静かな走行は、観光地の雰囲気を損なわず、快適な移動手段としての役割を果たしています。
EVバスは単に環境に優しいだけでなく、都市部の生活環境や観光地の魅力向上にも貢献しているのです。
ランニングコストの削減
ディーゼルバスと比較して、ランニングコストが低く抑えられる点も、EVバスのメリットです。EVバスで使われる電気の価格は、ディーゼルバスで使われる燃料よりも安価であるため、ランニングコストを削減できるのです。EVバスは、環境保護の観点だけでなく、経済的にも魅力的な交通手段として期待されています。
補助金制度の充実
EVバスを導入する際には、国や地方自治体から提供される補助金制度を活用できます。そのため、初期コストの大幅な削減が期待できるのです。
例えば、経済産業省と国土交通省は連携して「商用車の電動化促進事業」を実施しています。商用車の電動化促進事業では、EVバスを導入した場合には標準的燃費水準車両との差額の3分の2にあたる金額の補助を受けられます。また、充電設備に対しては2分の1の金額の補助を受けられるのです。また、自治体によっては独自の補助金を用意している場合もあります。
こうした補助金制度を活用することで導入時のコスト負担が軽減されるため、より多くの企業がEVバスの導入を検討しやすくなっています。
社会的イメージの向上
EVバスの導入は、環境に配慮した先進的なイメージを地域や企業に与えます。環境に配慮した先進的なイメージを与えることで、持続可能な社会を目指すための重要な取り組みの一環として、企業や自治体のブランド価値を高める効果が期待できるでしょう。
特に若い世代においては、環境や社会問題への取り組みを重視して消費行動を決める「エシカル消費」の考え方が広がりつつあります。環境保護に積極的な姿勢が評価されれば、複数あるうちの移動手段の一つとして、EVバスが選ばれる可能性もあるのです。
このようにEVバスは単なる移動手段にとどまらず、企業にとっての重要な戦略的資産になる可能性があります。
EVバスのデメリット
EVバスには、メリットだけでなく次のようなデメリットもあります。
- 初期導入コストが高い
- 1回の充電で走行できる距離が短い
- 充電設備のインフラが不足している
- バッテリーの寿命を考慮する必要がある
- 寒冷地ではパフォーマンスが低下しやすい
それぞれ、詳しく解説します。
初期導入コストが高い
EVバスのデメリットとして、初期導入コストがディーゼルバスに比べて高額である点が挙げられます。バッテリーや専用の充電設備が必要なため、初期投資がどうしても大きくなってしまうのです。
高額な初期導入コストは、EVバスの導入を検討するうえで一つのハードルとなることがあります。ただし、補助金制度を上手に活用することで、コスト負担を大幅に抑えられる可能性があります。
また、EVバスはランニングコストの低さが魅力でもあるため、全体でかかる費用や環境負荷についても考慮し、総合的に導入の判断をしましょう。
1回の充電で走行できる距離が短い
EVバスは、1回の充電で走行できる距離が限られている点が課題となります。バッテリー容量には限界があるため、特に長距離路線では充電が頻繁に必要となってしまうのです。
EVバスは、一般的に航続距離が150〜200km程度とされています。1日中の運行に十分な距離とは言えず、途中での充電が必要となるでしょう。そのため、充電インフラの整備が重要な課題となっています。
1回の充電で走行できる距離が短いこと、さらに充電にはある程度時間がかかることをふまえた上で、ルートや乗車する車両の設定を行う必要があります。
充電設備のインフラが不足している
EVバス導入の障害の一つとして、充電設備の整備が十分でないことが挙げられます。特に地方都市や郊外では、充電ステーションの数の不足が課題となっているのです。
充電インフラの整備を進めつつある地域もありますが、EVバスの効率的な運行に充分な状況とはいえません。充電ステーションが充分に設置されていないことから、長距離運行や連続運行の際に充電が間に合わないケースも考えられます。
今後充電インフラの拡充が進めば、より多くの地域でEVバスの運行が現実的になるでしょう。
バッテリーの寿命を考慮する必要がある
EVバスに搭載されているバッテリーには寿命があり、長期間の使用によって徐々に性能が低下してしまうことが避けられません。そのため、一定期間が経過した段階でバッテリーの交換が必要です。導入時にはバッテリーの交換スケジュールやその費用をしっかりと見積もり、運用計画に反映させることが求められるでしょう。
バッテリーの寿命を考慮し効率的な運用を行うためには、技術の進展やリサイクルシステムの活用など、さまざまな要素も導入時に検討することが大切です。
寒冷地ではパフォーマンスが低下しやすい
寒冷地では低温の影響でバッテリーの性能が低下しやすく、その結果EVバスの航続距離が短くなることがあります。寒さによりバッテリーの効率が下がり、通常よりも早く充電が必要になることが多いのです。
寒冷地での運行を成功させるためには、バッテリー保護や充電インフラの強化といった、寒さに対応した具体的な取り組みの検討が求められます。
EVバスの導入を検討してみよう
EVバスとは、電力を使って走るバスのことです。ランニングコストが低く環境負荷も低いというメリットがある一方で、導入コストの高さやインフラ不足が課題とされています。
国や自治体ではEVバスの導入を促進するための補助金も用意しています。EVバスを導入する際には、補助金について調査するとともに、自社で利用できるか条件を確認してみましょう。