2026.01.18
カテゴリ:法務/労務管理/規制
タグ:ノウハウ
2026年に労働基準法が改正?最新状況と現在対応すべきルール2026年の労働基準法改正について、多くの経営者が情報を求めています。しかし、改正内容が確定していると誤解している方も少なくありません。現段階で法案は国会に提出されておらず、施行時期も確定していません。あくまで検討が続いている途中段階にある、というのが正確な状況です。
一方で、ドライバーを雇用する運送業やバス・タクシー事業者にとって、今すぐ対応すべきルールは明確に存在します。2024年4月から本格的に始まった年960時間の残業上限規制と改善基準告示は、すでに実務に直撃している制度です。法改正の動向を追うことも大切ですが、現行制度を確実に遵守することが最優先になります。
本記事では、2026年改正をめぐる最新の動きを整理するとともに、自動車運転者に関わる残業時間の上限規制や改善基準告示のポイントをわかりやすく解説します。検討段階の情報と確定した制度を区別しながら、経営者として今すぐ取り組むべきポイントを押さえていきましょう。
※本記事は、2026年1月時点で公表されている情報をもとに、当社の見解として作成しています。
2026年労働基準法改正の最新状況
2026年の労働基準法改正については、多くの経営者が関心を寄せています。特にドライバーを雇用する運送業やバス・タクシー事業者にとって、労働時間に関するルールの変更が、経営判断や現場運営に大きな影響を及ぼすテーマといえるでしょう。
本章では、現在検討されている法改正の立ち位置を確認するとともに、議論の中心となっているポイントや、そして施行時期の見通しについて整理していきます。検討段階の情報と確定した制度を区別しながら、正確な状況を把握しておきましょう。
改正法案の位置づけ
労働基準法を大きく見直す動きが取り沙汰されるなか、「2026年改正」という言葉に関心を持つ人が増えています。しかし現時点では、成立・施行が確定した改正ではなく、検討や政治判断のフェーズにある点を理解しておきましょう。
まず、決まっていることと決まっていないことを明確に区別する必要があります。労働政策審議会の議事録や研究会報告書では、連続勤務の抑制や休日の扱いの明確化といったテーマが論点として挙げられています。ただし、これらはあくまで検討段階の議論であり、法律として成立したわけではありません。この線引きを最初に押さえておくことが大切です。
主要論点の整理
検討されている主なテーマには、連続勤務の抑制や休日の扱いの明確化などがあります。これらは「論点」として議論されている段階であり、具体的な法改正内容として確定したものではありません。
特にドライバー雇用で影響が出る可能性がある論点に絞って見ていくと、労働時間の管理ルールをより厳密にする方向性や、休息時間の考え方が注目されています。ただし、労働基準法の改正だけを追うのは危険です。
運送業の労務管理は、改善基準告示をはじめとする複数の制度が重なって適用される仕組みになっています。そのため、全体像を把握しておく必要があります。制度概要として、まずはこの重層的な規制の仕組みを理解しておきましょう。
施行時期の見通し
2025年12月下旬には、改正法案が通常国会へ提出されない見通しであることが報道されました。そのため「2026年施行」を前提に断言する情報には注意が必要です。
施行時期が流動的な状況では、「いつ変わるか」を追うよりも、今守るべきルールを優先すべきです。たとえば、すでに運用が始まっている年間960時間の時間外労働上限は、経営者としての最優先事項になります。今後の法改正の動きを注視しながらも、まずは現時点で適用されているルールへの対応を徹底していきましょう。
自動車運転者の残業上限規制
自動車の運転業務に従事する労働者には、一般的な労働者とは別枠の時間外労働ルールが設けられています。この規制は2024年4月から本格的に始まっており、すでに実務に直撃している制度です。
本章では、年間960時間という残業時間の上限がどのように定められているのかに加え、一般則との違い、そして36協定の実務上の注意点について解説します。制度の基本を正しく理解し、違反リスクを避ける体制を整えていきましょう。
年間960時間の時間外労働上限とは
自動車の運転業務に従事する労働者については、時間外労働に年間960時間という上限が設けられています。この数値は、36協定で特別条項を設定している場合に適用されるものであり、休日労働は別枠として扱われる点を押さえておきましょう。
まず理解すべきは、何が違反になるかという基準です。単純に「忙しいから超えてしまった」という理由は認められません。あらかじめ適正に36協定を締結し、労使間で合意した範囲内でのみ時間外労働を命じる必要があります。
また、締結した協定は労働基準監督署への届出が必須で、形式だけでなく実態も伴っていなければなりません。制度概要として、この基本的な枠組みを正しく理解しておくことが重要です。
一般則との違い
一般労働者に適用される「1か月あたり100時間未満」「数か月平均で80時間以内」「月45時間を超える残業は年6回まで」といった規制は、自動車運転業務に従事する労働者にはそのまま適用されません。この点を明確に理解しておく必要があります。
一般則が適用されない代わりに、運転者には改善基準告示という別のルールが存在し、拘束時間や休息時間に上限を設ける役割を果たしています。つまり、労働基準法と改善基準告示の両方が重なり合う形で、ドライバーの労働条件が規制される構造になっているのです。
36協定の実務
経営者にとって最も大きなリスクは、36協定がない状態や形骸化している状態です。協定を締結していない場合、時間外労働そのものが違法となり、労働基準監督署の是正勧告や罰則の対象になる可能性があります。
また、労働時間の定義自体が争点になりやすい点にも注意が必要です。待機時間や荷待ち時間、点呼や付帯業務がどう扱われるかは、個別のケースで判断が分かれる場合もあります。
制度面でのリスクを正しく認識し、実務対応につなげていくことが求められます。深掘りしすぎず、まずは基本的な考え方を押さえておきましょう。
改善基準告示で押さえるべきポイント
改善基準告示は、労働基準法とは異なる切り口で、自動車運転者の働き方を管理するために設けられたルールです。拘束される時間の長さや休息の取り方、運転時間といった要素を総合的に管理する必要があります。
本項では、拘束時間・休息期間・運転時間という三つの軸に分けて、それぞれの基本的な考え方と実務上の注意点を整理します。制度が目指しているのは、ドライバーの安全確保と健康維持です。その背景にある考え方を理解したうえで、日々の運行管理に落とし込んでいきましょう。
拘束時間の基準
改善基準告示では、いわゆる労働時間だけでなく、休憩や待機を含めた「拘束されている時間」全体を管理対象としています。拘束時間とは、始業から終業までの時間を指し、実際に運転していない時間も含まれる点が特徴になります。
トラック運送などでは、年間や月間の拘束時間に上限が設定されています。この基準は労働時間の上限とは別の観点から設けられており、ドライバーの健康確保と安全運行の両立が目的です。拘束時間という考え方を制度の基本として押さえることで、労務管理の全体像が見えてきます。
休息期間の基準
勤務間インターバルとも呼ばれる休息期間は、勤務と勤務の間に一定時間の休息を確保することを求める規制です。その背景には、運転者の疲労を回復させ、事故リスクを抑えるという目的があります。
改善基準告示では、必ず確保しなければならない休息時間に加え、努力義務として推奨される水準も示されています。この「最低ライン」と「努力義務」の違いを正しく理解しておくことが大切です。
最低ラインは法的な義務として守るべき基準であり、努力義務はそれを上回る望ましい水準を示しています。誤解なく整理しておきましょう。
運転時間の基準
運転時間そのものにも、連続運転の制限や運転中断のルールが設けられています。これらは事故防止の観点から設定された規制であり、安全を最優先に設計されたものです。
バスやタクシーも含め、業態ごとに細かな違いはあります。しかし共通するのは「安全と健康を守るための規制である」という設計思想です。細部よりもまず、この基本的な考え方を押さえておきましょう。
制度概要として網羅性を担保しつつ、実務で守るべきポイントを理解することが重要です。
検討段階の情報と確定した制度を区別しよう
2026年の労働基準法改正については、検討段階の情報と確定した制度を区別して理解することが重要です。現段階では法案は国会に提出されておらず、施行時期についても確定していない状況が続いています。
一方で、ドライバー雇用において今すぐ守るべきルールは明確です。時間外労働の年間960時間上限や、改善基準告示で定められた各要件への対応は、経営としての最優先事項になります。さらに、物流効率化法など周辺制度の動きにも目を配り、総合的な対応を進めていきましょう。
法改正の動向を注視しつつ、現行制度を確実に遵守する体制を整えてください。36協定の適切な締結、労働時間を正確に把握すること、拘束時間や休息期間を適切に管理することといった基本を徹底することが、違反リスクを避ける最も確実な方法です。
※本記事は、2026年1月時点で公表されている情報をもとに、当社の見解として作成しています。



























