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自動車運行管理ラボ

2022.09.14

カテゴリ:運行管理

タグ:

デマンド交通はどんなサービス?運行業務の外部委託の注意点とは

デマンド交通

近年導入する自治体が増えているデマンド交通。利用者にメリットが大きい交通手段ですが、導入する際には慎重な検討が必要です。

そこで今回は、デマンド交通の概要や、導入の際に検討するべきポイントについて解説します。

デマンド交通とは?

デマンド交通は、正式にはDRT(Demand Responsive Transport:需要応答型交通システム)と言い、路線バスとタクシーの中間的な役割を担う交通機関です。予約を受けて運行し、時間や発着地を自由に組み合わせることで、利用者に合わせて運行できるという特徴があります。

タクシーとの大きな違いは、運行車両として大型バスも選択でき、需要があれば複数人で乗り合いができる点です。平成 18 年の道路運送法の改正により、乗合事業の中にデマンド交通も含まれるようになりました。

デマンド交通を導入するメリット

デマンド交通を導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 利用者の移動手段の確保
  • 輸送コストの削減
  • 通行ルートを柔軟に設定できる

利用者の移動手段の確保

デマンド交通は、電車やバスなどの公共交通機関が整備されていない地方自治体での導入が増えています。また、公共交通機関が利用できる地域であっても、高齢者の買い物の際には荷物を持っての移動や乗り降りが困難なケースも考えられます。

乗り降りの場所や時間をある程度選べるので、生活に必要な移動手段として重要な役割を果たせます。

輸送コストの削減

廃止された路線バスの代替交通手段として、コミュニティバスを運行するという選択肢があります。しかし、利用者の少ない地域においては利用者1人あたりの輸送コストは高くなってしまいます。

デマンド交通は利用者に必要とされたときに運行できるので、乗客のいないバスを走らせるといった無駄が生じず、コストの削減が期待できます。

通行ルートを柔軟に設定できる

デマンド交通の運行ルートは、需要に合わせて柔軟に設定できます。

バス停や運行ルートをあらかじめ定めた場合には、予約内容に応じて乗り降りするバス停を最短距離で運行することも可能です。また、バス停や運行ルートを定めずに、指定エリア内でドアトゥードアでの運行する方法もあります。

デマンド交通の導入にあたって検討すべきこと

地域にコミュニティバスを導入する際は、以下の点に留意する必要があります。

  • デマンド交通が必要な理由
  • 予約システムの決定
  • 需要に応じて対象者や車両を決定する

デマンド交通が必要な理由

デマンド交通は利用者に大きなメリットがある交通機関です。また、バス停や運行時刻の設定をしなくてもよい点や、普通車でも運行できる点においては、コミュニティバスよりも比較的導入しやすい交通機関といえます。しかし、地域の特性によってはかえってコストがかかってしまったり、運行業務が膨大になったりしてしまう可能性もあります。

利用者が多く、一定のルートや時間帯に利用者が集中している場合には、毎回ひとりひとりの利用者から予約を受けていると配車業務に負担がかかってしまうので、コミュニティバスのほうが適しているといえます。

他の交通機関と比較して、デマンド交通を選択する理由を明確にした上で導入することが大切です。

予約システムの決定

デマンド交通の予約方法として、ITを活用して予約の受付やデータ管理を行う方法と、電話で予約を受け付けて配車を行う方法があります。

ITを活用する方法は、利用人数が多いと予測される場合に適していて、予約を管理する人員の削減もできるというメリットがあります。一方で、システムの導入に初期費用がかかるという面もあり、さらに、インターネットに不慣れな高齢者等に予約方法を周知する機会を設ける必要があります。

予約システムをIT化せず、電話などで対応する方法は、利用者が少ない地域に適していますが、受付時間内のオペレーターの常駐が必要です。

需要に応じて対象者や車両を決定する

デマンド交通は、利用できる人を地域住民や高齢者など、必要に応じて設定できます。対象者を限定する場合には、利用者登録や利用券の配布を行う方法もあります。

デマンド交通で運行する車両の指定はなく、必要に応じて大型バスから普通車までを選択できます。利用者の人数によっては、車両を複数台用意する必要もあります。路線バスやタクシーなど、他の交通機関との誤解が生じないように、デマンド交通であることを車両の外装に示す必要があります。

デマンド交通の運行業務はどのように行うか

デマンド交通を導入している自治体の多くは、予約の受付や実際の輸送といった運行業務を外部の専門業者に委託していて、業者の公募を行っている自治体もあります。

外注費用はできるだけ低価格に抑えたいところですが、以下の点に着目して委託業者を決定することが大切です。

  • 予約や運行システムがしっかりしているか
  • 安心して業務を任せられるか
  • 自動車運行管理の実績

予約や運行システムがしっかりしているか

デマンド交通は予約を受けて運行を行うので、予約情報や運行ルートを適切に管理する必要があります。

利用者にとっても使いやすい予約システムを導入することはもちろん、予約内容に応じた最短ルートを選択できるシステムを採用することで、輸送の効率化が図れます。

安心して業務を任せられるか

運行業務には、デマンド交通に馴染みがない人も安心して利用できることが求められます。運転手の接遇面の研修や、労働時間や健康状態などの管理を徹底している業者を選びましょう。

また、日々の車両の点検や、災害・事故などの緊急事態時の対応できる体制もチェックするべきポイントです。

自動車運行管理の実績

委託業者として、自動車運行管理に特化した業者を選ぶと安心ですが、具体的にこれまでにどのような実績があるかをチェックしましょう。これまでの取引件数や事故件数、デマンド交通以外にもどんな業種に対応してきたかを確認することが大切です。

デマンド交通の業務選びは慎重に

デマンド交通は利用者にメリットが大きい移動手段となりますが、予約システムの煩雑さや運行中の不備があると、利用者の減少に繋がりかねません。運行業務を委託する業者を選ぶ際は、提供予定のサービス内容に十分対応できるかについてや、これまでの取引実績をしっかり確認しましょう。

 

参考:デマンド型交通の手引き|国土交通省地方運輸局

デマンド交通導入ハンドブック|国土交通省

 

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