2022.10.14
カテゴリ:運行管理
タグ:ノウハウ
ランプバスとは?活用シーンと車両の特徴をご紹介ランプバスとは、空港から搭乗する飛行機の機体まで乗客を運んでくれる役目を担っている専用のバスです。
空港で飛行機に搭乗するには、2つの搭乗方法があります。1つめは、ボーディングブリッジと呼ばれる空港から航空機まで繋いだ橋を、乗客が渡って搭乗する手段です。この方法は、飛行機に乗ったことのあるほとんどの方が体験しているでしょう。
2つめの方法は、航空機の付近までランプバスで移動し、タラップという飛行機の乗り降り専用に使われる階段状のはしごを使って搭乗する方法です。
この方法は、外国の大統領といったような国賓が来日した際のニュース映像で見覚えがあるかもしれません。これは空港付近で乗り降りするよりも、安全性が高いことからあえて選ばれている搭乗方法でもあります。
成田・羽田空港でも大活躍!その理由とは
乗客がランプバスを使って移動する搭乗方法は、成田空港や羽田空港などの大きな空港でもしばしば採用されています。
LCC(格安航空会社)は、日本でいうJALやANAなどのフルサービス・キャリアの航空会社とは違って、あえてボーディングブリッジを使わないことでコストを抑えています。ボーディングを使わずにランプバスでの搭乗なら、航空会社が空港施設へ支払う費用を抑えられるため、航空券の金額を下げることができるのです。
現在はLCCの需要が特に集中しているうえ、LCC専用の成田空港第3ターミナルが新しく供用開始したこともあり、これまでよりもランプバスを見かける機会が増えるかもしれません。
空港で走るリムジンバスとの違いは?
空港内で走るバスの中には「リムジンバス」と呼ばれているバスもあります。空港への送迎や空港ターミナル同士の行き来などで使われるバスのことを指しているケースが多いようです。
ランプバスという名称は、搭乗する機体への輸送するバスという意味で使われることが多いのですが、リムジンバスの場合は空港内の乗客の輸送という点で幅広く使われています。
ちなみに「リムジンバス」という名称は、運営している東京空港交通株式会社が元々ホテルから空港へリムジンで送迎していたことから作られた、ブランド名のようなものです。
ランプバスはめんどくさい?
空港から離れた場所にあるオープンスポットへ飛行機を駐機することを、飛行業界では「沖止め」と呼びます。沖止めになった飛行機に搭乗するためには、ランプバスに乗って飛行機の間近までいって、タラップという階段を昇る必要があるため少々面倒に感じるかもしれません。
航空ファンでなければ、雨の日や重い荷物があるときは敬遠したくなるような搭乗方法かもしれませんが、実はランプバスの方がかえって歩く距離が減るケースも。大きな空港ではボーディングを使っても、検査場から搭乗口までかなり距離があることもあります。羽田空港なら搭乗口まで、最長で1㎞歩くことになるかもしれません。
ランプバスで機体のすぐそばまで運んでくれる方が歩く距離が少なくて済むうえに、機体を間近で眺められるのが醍醐味といえます。
ランプバスはどんな車両?特徴をご紹介
ランプバスは、大きなスーツケースを持った乗客が多く乗車するのを見越して低い床の車体や、街で走っているバスよりも大型なものが採用されてきました。運用当初は特注の大型車が作られていたそうです。
しかし現在はバリアフリーに特化した乗降口が幅広く低床な路線バス車両も多いため、中古の路線バス車両が社名だけ消して、ランプバスとして活用されているシーンも多く見かけます。
また、空港の敷地内では一般の道路交通法は適用されないため、ランプバスには国土交通省が発行するナンバープレートはついていません。その代わりに空港が管理するための独自のナンバープレートをつけています。
サイズやメーカーはどんな車両が多い?
ランプバスとして運用される車両は、空港によってさまざまです。幅は約3m、全長は約13mの一般の公道では見られないような大きな車両を使っています。空港内の敷地では、一般の道路交通法が適用されないため、このように公道では走れないような大きな車両でも問題なく走行できるようになっています。
しかし近年では、このようなランプバス運用するために特注された車両は少なくなってきており、中古の路線バス車両を活用しているケースも多いようです。
羽田空港や成田空港などでは、東京空港交通株式会社がランプバス業務を担っており、オレンジと白の車両がトレードマークです。空港ごとにランプバスの運用業務を担っている会社が違うため、車両の色もそれぞれ違ったカラーリングをしています。
海外で走るランプバス
東南アジア諸国でよく見かけるのが、日本で使われていた市営バスが車内広告そのままに使用されているなんてケースも。急激な発展を遂げているアジア諸国では、車をはじめとした日本の電車やバスといった優秀な車両は大変な人気があり、高く評価されているためあらゆるシーンで導入されています。
一方で、世界的にはランプバス専用で特注された最新の車両を運用している国も多いようです。車体は大きく幅広、車高が低く低床なのはそのままに、なんと前後にどちらでもすすむことができる車両も登場しています。
また、モービル・ラウンジと呼ばれる車両では、タラップを使用することなく機体のそばで高さを自在に車体を上下させられる便利なランプバスもあります。乗客は階段を昇ることや雨に濡れることなく、飛行機へ搭乗可能です。
今後もますます活躍するランプバス
ランプバスを用いた搭乗方法は、LCC利用に需要が高まるとともに、飛行機へのスムーズな乗降に重要な役割を担っています。一見面倒に思われるランプバスでの搭乗ですが、ランプバスで機体のそばまで行けることで、かえって空港ターミナル内を歩き続ける必要がないため負担が少ないかもしれません。
また、自分がこれから乗る機体を間近に眺められる機会はそうそうありません。また、使用されているランプバスも、もう見ることのできない貴重な車両といったケースもあります。ランプバスに乗る機会があれば、ぜひチェックしてみてください。
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