2023.04.22
カテゴリ:運行管理
タグ:自動運転
自動運転技術の日本の現状は?市販車や開発状況・法律を解説世界各国で自動運転車の開発が進んでおり、日本もその例外ではありません。自動運転車に関して、日本の現状が知りたいという人もいるでしょう。
日本では、すでに自動運転の技術が導入された市販車も販売されており、標準となりつつある機能もあります。とはいえ、完全に解禁するには法律面で課題があるのも事実です。
この記事では、自動運転の日本における現状について、市販車と開発、さらに法律面から解説します。日本における自動運転車の状況について知りたい人は、ぜひご覧ください。
日本における自動運転の市販車の現状
そもそも自動運転はその技術レベルやどれだけ運転手が関わらなければならないかによって、6つのレベル分けがされています。
段階 |
機能 |
運転主体 |
走行領域 |
レベル0 |
運転自動化なし |
ドライバー |
– |
レベル1 |
運転支援 |
ドライバー |
限定的 |
レベル2 |
特定条件下での自動運転機能 |
ドライバー |
限定的 |
レベル3 |
条件付き自動運転 |
システム |
限定的 |
レベル4 |
特定条件下における完全自動運転 |
システム |
限定的 |
レベル5 |
完全自動運転 |
システム |
限定なし |
参考:自動運転のレベル分けについて|国土交通省
これらの自動運転の技術はすでに市販車にも導入されています。まずは、日本において自動運転技術が市販車にどれだけ搭載されているのか見ていきましょう。
レベル1は標準装備
自動運転のレベル1は、「アクセルやブレーキのように縦の操作を自動で行う機能、もしくはハンドルを使う横の操作を自動で行う機能のうち、どちらか1つが搭載されたもの」です。例えば、車線からはみ出さずに走行する機能や、自動ブレーキが搭載された車が自動運転レベル1です。
日本ではすでに、新しいモデルの車には衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載が義務づけられています。また、継続して生産されているモデルは2025年9月まで、輸入車は2026年7月までに順次搭載の義務付けが実施される予定です。
もちろん、義務づけられていない現在でも、自動ブレーキ機能が搭載された車は数多く販売されています。すでに自動運転レベル1の機能は、標準装備になったといって良いでしょう。
レベル2は主力製品
2023年4月現在、自動運転を売りにした主力商品として市場で販売されているのは、自動運転レベル2の機能が搭載された車両です。自動運転レベル2とは、「アクセルやブレーキなどの縦の制御と、ハンドルを使う横の制御を組み合わせて利用できるもの」を指します。
例えば、前の車に追従しつつ、車線からはみ出さないように走行する機能や、走行スピードの遅い車の後ろについた場合に追い越しをする機能などが該当します。
レベル2の機能が搭載されていれば、高速道路など限定された条件下であればハンズオフでの運転が可能です。ハンズオフとは、ハンドルから手を離して運転することを指しています。ただし必要に応じてドライバーが操作を行う必要があるため、通常の運転時と同様前方をはじめとした各方向への注意を怠ってはならず、運転中のスマートフォン操作などはできません。
レベル3の販売実績もあり
日本では自動運転レベル3の市販車が販売された実績もあります。レベル3とは、「限定された条件下でシステムがすべての運転タスクに対応できるレベル」を指します。とはいえドライバーは運転席から離れることはできず、システムからの要請があった場合には即座に運転しなければなりません。
日本で販売された自動運転レベル3の市販車は、ホンダのレジェンドです。2021年3月に100台限定で販売された車両で、その後追加の販売などもされていないため、本格的に販売がスタートしたとは言いがたい状況です。
日本における自動運転車開発の現状
上記の通りレベル3の自動運転車は市販車として販売された実績がありますが、本格的に販売されているとは言えません。また、レベル3の自動運転車は、システムが対応できる部分が多いためにドライバーの油断を招きがちだという議論もあります。
そのため日本を含む各国では、レベル3よりもレベル4対応の自動運転車の開発に力を入れる傾向があるようです。レベル4とは、「限定された条件の中でシステムがすべての運転タスクに対応できる自動運転車」のことを指しています。条件からはずれる場合や危険な場合には安全に自動停止できる機能もついているため、理論上運転席は無人でも走行可能です。
日本ではレベル4の車両の実証実験が始まっています。巡回バスなど、決まったルートを走行するものから実用化される可能性が高いでしょう。また自動車だけでなく、農具や宅配ロボットなど、自動運転技術を使った商品やサービスの開発も進んでいます。
自動運転に関する日本の法律の現状
自動運転車を走行させるには、法律の整備も欠かせません。そこで、自動運転に関する日本の法律の現状についてもみていきましょう。
レベル3搭載車両に関する規制
レベル3搭載車両は、市販車であっても公道の走行が認められています。また、装置を使用している間の走行も「運転」として法律で認められています。
ただし、自動運転装置を使用する場合には、作動状態が記録されるような状態にしておかなければなりません。これは、万が一交通違反や事故が発生した場合、システムが運転していたのか人が運転していたのかを明らかにするためです。
レベル3搭載車両では、システムが正しく作動している間であればドライバーはスマートフォンやカーナビの操作が認められています。ただし、システムの要求に応じて運転する必要があるため、飲酒や居眠りは認められていません。
また、スマートフォンやカーナビの操作以外の動作に関しては、法律に明記されていません。今後何らかの見解が示される可能性はありますが、現状ではパソコンの使用や読書などは避けた方が無難です。
レベル4搭載車両に関する規制
レベル4搭載車両も、一部公道の走行が認められています。ただし、現状では市販車の走行はまだ認められておらず、事業者が技術を使ったサービスを展開する場合のみ認められている状況です。また、運転席にドライバーはいなくても走行できますが、遠隔での監視が求められています。
法律制定に関する課題
法律の制定に関しては、事故が起きた際にドライバーとシステムどちらの責任とするか決めなければならないのが大きな課題です。
また、無人での走行を想定すると、万が一動かなくなってしまった場合には誰がどのように対応するかも決めなければなりません。特に、悪天候時危険な場所で止まってしまった場合や、高速道路上などで停止してしまった場合の対応は、丁寧に制度を整えなければトラブルとなる可能性もあります。
法律ではまだこれらの問題について整備しておらず、市販のレベル4搭載車が無人で公道を走行できるようになるためには、法律的にもまだ時間がかかりそうです。
自動運転に関する日本の現状を知っておこう
日本では、自動運転レベル1の機能は標準装備となりつつあり、レベル2の車両は主力商品として販売されています。また、レベル3やレベル4を搭載した車両の開発や、法律の整備も進んでいるため、近い将来さらに高機能な自動運転車が走行するようになるでしょう。
とはいえ、事故時の責任の所在など、まだまだ課題とされている部分もあります。この記事を参考に、日本の現状を把握しつつ、今後の進化にも注目してください。
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