2024.04.11
カテゴリ:運行管理
タグ:ノウハウ
日本型ライドシェアの特徴は?海外との違いとメリットをわかりやすく解説ライドシェアとは、個人間で自動車の相乗りを行うサービスのことです。ドライバーが自分の車で乗客を目的地まで運ぶ形式で、スマートフォンアプリを利用してマッチングされるケースが多いのが特徴です。ライドシェアは、都市部を中心に世界中で普及している新しい交通サービスです。
海外ではタクシーの代わりとして一般的に利用されているライドシェアですが、日本では法規制がありこれまで導入されてきませんでした。
しかし、2024年4月に、有料で乗客を運ぶライドシェアが一部解禁されました。ただし、あくまでもタクシー不足をカバーするためのものであり、海外のライドシェアと比較すると大きな制限があります。それに伴ってか、ライドシェアにかんするサービスも生まれ始めています。
この記事では、日本型ライドシェアの特徴を海外と比較しながら紹介。さらに、日本型ライドシェアのメリットも紹介します。
日本型ライドシェアについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
GO株式会社が提供する日本型ライドシェアの導入支援サービス
タクシー配車アプリを提供しているGO株式会社で、タクシー会社向けに日本型ライドシェアの導入支援サービスを提供開始したとのプレスリリースがありました。具体的に提供しているサービスは以下の4つです。
- ライドシェアドライバーの採用支援
- ドライバー向けアプリの開発・提供
- タクシー事業者向け管理システムの開発・提供
- ドライブレコーダー等の機器の提供
ドライバーの採用支援サービスは、すでに提供が開始されています。タクシー会社がライドシェアサービスを導入する際の必要な機能を開発・提供することで、日本型ライドシェアの導入を支援しているのが特徴です。
日本型ライドシェアの特徴
日本でも、タクシー不足を背景にライドシェアの導入が部分的に解禁されました。ただし、道路運送法の規制により、海外と同様のライドシェアは提供できません。日本型ライドシェアと海外のライドシェアは、次のような点が異なります。
- 事業主体の違い
- 運行地域と時間帯の限定
- 配車システムと料金設定
海外のライドシェアと比較しながら、日本型ライドシェアの特徴を解説します。
事業主体の違い
日本型ライドシェアでは、タクシー会社が主体となって運営しています。具体的には、既存のタクシー会社がそのインフラや資源を活用して、ライドシェアサービスを提供しています。ドライバーはタクシー会社と雇用契約を結び、事故発生時にもタクシー会社が全責任を負うという特徴があります。
一方で、海外のライドシェアサービスでは、ライドシェアプラットフォームの事業者が主体となって運営しています。プラットフォーム事業者がドライバーと直接契約し、ドライバーは個人事業主の立場で参加するのが一般的です。つまり、日本型ライドシェアとは事業主体が大きく異なるのが特徴といえます。
運行地域と時間帯の限定
日本のライドシェアサービスは、国土交通省が指定した「タクシーが足りない時間帯」のみ運行が可能となっています。具体的には、地域によって異なる時間帯が「タクシーが足りない時間帯」として設定されており、その時間帯に限ってサービスの提供が行われます。
また、運行地域も限定されており、2024年4月8日には東京23区、三鷹市、武蔵野市でライドシェアの運行が解禁されました。その後、4月中には神奈川、愛知、京都でもサービスが開始される予定です。
さらに、運行できる車両台数にも上限が設けられています。日本型ライドシェアは、タクシー不足を補完することが目的であるため、過度な影響を与えないよう制限されているのが特徴です。
配車システムと料金設定
日本型ライドシェアでは、利用者はタクシー配車のアプリを使って配車を依頼します。一方で海外のライドシェアサービスは、マッチング用のプラットフォームアプリを利用するのが一般的です。
また、日本型ライドシェアの料金は、通常のタクシー料金と同じ水準に設定されています。料金は配車時点で確定し、需要と供給によって変動するダイナミックプライシングは適用されません。
これは海外のライドシェアサービスと大きく異なる点です。海外のライドシェアでは、需給バランスを反映した変動料金が一般的ですが、日本型ライドシェアはタクシー業界のインフラを活用していることもあり、安定した料金設定を維持しています。
乗客にとっても事前料金が分かりやすい点はメリットといえるでしょう。
日本型ライドシェアのメリット
日本型ライドシェアには、次のようなメリットがあります。それぞれ、詳しく解説します。
- 高品質で安全なサービスを提供できる
- ドライバーの給与を維持しながらタクシー不足を解消できる
高品質で安全なサービスを提供できる
日本型ライドシェアでは、タクシー業界のインフラや経験を活用することで、高品質で安全なサービスの提供が可能となっています。ドライバーの選定には厳しい基準が設けられており、採用試験も実施されています。応募者の中から約半数しか採用されないなど、安全運転ができるドライバーが採用されているといってよいでしょう。
一方、海外のライドシェアでは、書類さえ整っていればプラットフォームに登録できる場合も少なくありません。
日本型ライドシェアでは、オンラインでの研修や動体視力、運転適性のチェックなども行われています。また、乗務前のアルコールチェック、車内のネットワークカメラによる監視、そして衝突軽減ブレーキの設置など、安全面での対策も徹底されています。
このように、日本型ライドシェアでは、タクシー業界の知見を活かしつつ、安全性の高いサービス提供を実現しています。
ドライバーの給与を維持しながらタクシー不足を解消できる
ライドシェアが全面解禁されると、タクシードライバーの給与が下がる恐れがあります。しかし、日本型ライドシェアとして限定的に導入することで、正社員ドライバーの賃金を維持することができると期待されているのです。
タクシーが不足している時間帯にだけライドシェアを導入することで、顧客の待ち時間が長くなる問題を解消できます。つまり、ライドシェアのメリットを取り入れつつ、日本のサービス品質を維持することが可能なのです。
このように、日本型ライドシェアは、ドライバーの収入を確保しつつ、タクシー不足の解消にも貢献できる、重要なサービスとなっています。
日本型ライドシェアサービスの今後に注目
日本型ライドシェアサービスは、海外で提供されているライドシェアサービスの良いところを取り入れつつ、日本のタクシーの高品質なサービス提供を維持するための取り組みです。この取り組みにより、日本のタクシー不足が緩和され、利用者にもメリットがあると期待されています。
日本型ライドシェアと海外のライドシェアのもっとも大きな違いは規制の有無です。現在は、限られた地域や時間帯でしか、ライドシェアを運行できません。
しかし、ライドシェアに寄せられる期待は高く、運行地域や時間帯が拡大する可能性もあります。今後の動向にも、注目しておきましょう。