2024.12.07
カテゴリ:法務/労務管理/規制
タグ:安全対策
自転車運転中のながらスマホも罰則の対象に!法改正の概要を紹介自転車に乗るとき、ついスマートフォンを操作してしまうことはないでしょうか。実は、2024年の11月から、自転車運転中のながらスマホに罰則が設けられました。
この記事では、道路交通法の改正内容やながらスマホがもたらすリスク、そしてそれを避けるための具体的な対策を詳しく解説。さらに、罰則が強化された理由や安全な運転環境を保つための工夫も紹介します。
罰則の内容と具体的な対策を知り、安全に自転車を活用しましょう。
自転車のながらスマホが罰則対象に!法改正の概要
道路交通法の改正により、2024年11月から自転車での「ながらスマホ」が罰則の対象となりました。
「ながらスマホ」とは、自転車の運転中にスマートフォンを操作または注視する行為を指します。
手にスマートフォンを持った状態だけでなく、スマホホルダーに固定された画面を注視し続ける行為も違反となるため注意しなければなりません。
違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金を課せられます。また、自転車運転中に「ながらスマホ」をして事故を引き起こすなど交通の危険を生じさせた場合には1年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
罰則を避けるためにはもちろん、自分自身の安全を守るためにも自転車をしている際の「ながらスマホ」は避けるようにしましょう。
自転車のながらスマホが罰則の対象になった背景
自転車のながらスマホが罰則の対象になった背景には、ながらスマホによる事故の増加があります。
警察庁が発表した、自転車の運転者が携帯電話等を使用していた場合の交通事故件数の推移は次の通りです。
出典:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁
このグラフを見ると、通話目的の使用の場合よりも、画像目的の使用の場合の方が事故件数が多いことがわかります。
そのため、画像の注視に罰則を与える法改正が行われたのです。
危険な違反行為を繰り返した場合には「自転車運転者講習」の受講が必要
自転車運転中のながらスマホを含む違反行為を3年以内に2回繰り返し、取り締まりを受けた場合には、自転車運転者講習を受講しなければなりません。
自転車運転者講習の対象となる違反行為には、ながらスマホ以外に次のようなものがあります。
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩道通行時の通行方法違反
- 酒気帯び運転等
- 安全運転義務違反
講習は3時間にわたって行われ、受講するためには6,000円の手数料を支払わなければなりません。また、受講命令に従わなかった場合には、5万円の罰金の支払い義務が生じます。
違反を繰り返した場合には、単純に違反に対する罰金や懲役の可能性があるだけでなく、自転車運転者講習の対象となる可能性もあることを覚えておきましょう。
自転車のながらスマホが引き起こすリスク
自転車運転中のながらスマホは、次のようなリスクを引き起こします。それぞれ、詳しく解説します。
- 注意力の低下
- 操作性の低下
- 視界の遮断
- 周囲への影響
- 経済的・社会的な影響
注意力の低下
ながらスマホは、運転者の注意力を著しく低下させます。スマホに集中することで、周囲の状況把握がおろそかになってしまう場合も少なくありません。
結果として信号を見落としたり、歩行者や他の車両に気付かず衝突したりする可能性があります。
運転中の注意力を保つために、ながらスマホは避けるべき行動だといえるでしょう。
操作性の低下
スマートフォンを使用すると、自転車の操作が不安定になり、事故のリスクが高まります。スマートフォンを使用していることで片手で運転をすることになり、ハンドル操作やブレーキをかける際にスムーズな動作ができなくなるためです。
結果として、段差を越える際にバランスを崩して転倒したり、急な障害物に対処しきれなくなる可能性があります。また、こうした状況では自分だけでなく、周囲の歩行者や車両に危険を及ぼすことも少なくありません。
安全運転を心がけるためには、両手でしっかりとハンドルを握り適切な操作を行うことが基本です。
視界の遮断
スマートフォンの画面を注視すると、前方の視界が遮られ、運転中の安全が大きく損なわれます。スマホに視線が固定されることで、周囲の状況を適切に確認することが難しくなってしまうのです。
その結果、目の前に急に現れた歩行者や車両に気付かず、衝突や事故を引き起こしてしまう可能性が高まります。特に交差点や狭い道路では、こうした不注意が重大な事故につながるケースも少なくありません。
視界を確保することで、自分や周囲の安全を守る行動を徹底しましょう。
周囲への影響
ながらスマホは、運転者自身だけでなく、周囲の歩行者や車両にとっても重大な危険をもたらします。スマホに気を取られることで、不注意が生じ、周囲の安全を損なう結果、思わぬ事故を引き起こしてしまうケースもあるのです。
例えば、交差点でスマホを操作していたために赤信号を無視し、横断中の歩行者と接触してしまう可能性もあります。事故が発生すると、加害者にも被害者にも大きな負担を強いる結果となります。
ながらスマホを防ぐことは、自分自身の安全を守るだけでなく、周囲の人々の安全を確保するために欠かせない行動です。
経済的・社会的な影響
ながらスマホによる違反や事故は、運転者自身に経済的な損失をもたらすだけでなく、社会的信用を失うリスクをも伴います。罰金や損害賠償の支払いが発生するだけでなく、保険料の増加や社会的な非難を受ける可能性が高まるためです。
例えば、事故を起こして相手から損害賠償請求を受けた結果、高額な支払いを余儀なくされるケースがあります。また、SNSで事故や違反の様子が拡散されることで、仕事や人間関係に悪影響を及ぼし、社会的信用を失う事態にもつながりかねません。
ながらスマホは、事故の直接的な危険だけでなく、経済的な負担や社会的なダメージを引き起こす行為であることを理解し、絶対に避けるべき行動だといえるでしょう。
自転車でのながらスマホを避けるための工夫
自転車でのながらスマホを避けるためには、次のような工夫をすると良いでしょう。それぞれ、詳しく解説します。
- 音声ナビを活用する
- ハンズフリー装置を活用する
- スマートウォッチを併用し通知に気付けるようにする
- 安全な場所に停車してからスマホを操作する
音声ナビを活用する
スマートフォンの地図アプリに搭載された音声ナビを活用すれば、画面を注視することなく目的地に到着することが可能です。音声案内を利用することで、視覚ではなく聴覚を通じて情報を得られるため、運転中の安全性を高める効果が期待できます。
例えば、事前に目的地を設定しておけば、音声案内だけで進むべき道を把握できるため、画面を見ながら操作する必要がなくなります。これにより、ながらスマホによるリスクを回避し、安全な運転環境を保てます。
音声ナビは、安全運転のサポートツールとして非常に有効です。視覚を妨げることなく移動をスムーズに進めるためにも、音声ナビを積極的に取り入れましょう。
ハンズフリー装置を活用する
ハンズフリー装置を活用すれば、スマートフォンを手で持つ必要がなくなり、運転中の安全性を大幅に向上させることができます。
例えば、ハンズフリーイヤホンを使用することで、通話中でも安全な運転を続けることが可能です。スマートフォンを手に持ったり画面を注視する必要がなくなり、ながらスマホによるリスクを大きく減らせるでしょう。
ただし、両耳にイヤホンをつけての運転は危険が増す可能性があるほか、自治体によっては違反行為となる場合もあるため注意してください。
ハンズフリー装置は、安全運転をサポートする便利なツールです。ながらスマホによる危険を回避し、安心して移動するためにも、積極的に取り入れることをおすすめします。
スマートウォッチを併用し通知に気付けるようにする
スマートウォッチを活用すれば、スマートフォンを操作することなく通知を確認でき、運転中の安全性を高めることが可能です。手元で通知を確認できるため、スマホ画面を注視する必要がなくなり、ながらスマホによるリスクを減らせます。
例えば、着信やメッセージの通知がスマートウォッチに表示されるため、運転を中断する必要があるかどうかを瞬時に判断できます。必要な場合には、安全な場所に停車して対応すれば、交通ルールを守りつつ重要な連絡にも対応可能です。
スマートウォッチは、ながらスマホを防ぎながら、効率的に通知に対応するための有効なツールです。安全運転を心がけるためにも、スマートウォッチの併用を検討してみてはいかがでしょうか。
安全な場所に停車してからスマホを操作する
どうしてもスマートフォンを操作する必要がある場合は、安全な場所に停車して行うことが大切です。
停車中であれば、周囲の安全を確保しながら操作できるため、ながらスマホによる事故のリスクを回避できることに加え、交通違反として取り締まられることもありません。
例えば、歩道や駐輪場など、安全が確保されたエリアでスマホを操作する習慣を身につけることで、自分自身だけでなく周囲の人々にも配慮した行動が取れます。特に交通量の多いエリアでは、安全な場所での停車が重要です。
運転中のスマホ操作は事故を招く危険な行為です。停車して操作を行うことを基本ルールとして徹底し、安全で快適な移動を心がけましょう。
自転車でのながらスマホで罰則が生じることを知っておこう
道路交通法の改正により、自転車でのながらスマホでも罰則が生じるようになりました。また、その他の違反とあわせて複数回繰り返した場合には、自転車運転者講習を受講しなければなりません。
自転車運転中のながらスマホは罰則の対象となるだけでなく、事故を引き起こす可能性もある危険な行為です。この記事を参考に、自転車運転中のながらスマホを避けられるよう工夫しましょう。