2026.02.12
カテゴリ:安心/安全/教育
タグ:安全対策
ドライバーの健康管理には企業責任が発生する?運用の設計も紹介運送業界では、ドライバーの健康状態が直接的に安全運行へ影響を及ぼします。睡眠不足や体調不良による事故は、本人の問題として片付けられがちですが、企業の管理体制が問われるケースも少なくありません。
実際、健康起因の事故が発生した際、点呼記録や勤務実態、受診勧奨の有無といった管理状況が精査され、企業責任が問われる場面が増えています。適切な管理体制を整えていなければ、労災認定や損害賠償において不利な立場に置かれる可能性があるでしょう。
この記事では、ドライバーの健康管理における企業責任の範囲を明確にし、健康起因のリスクが顕在化しやすい具体的な場面を示します。さらに、点呼や勤務計画、受診勧奨といった実務で整えるべき運用設計について解説します。
ドライバーの健康管理における企業責任とは
ここでは、運送事業者が負うべき健康管理の責任範囲と、その実務上の位置づけについて解説します。
安全配慮義務の位置づけ
企業はドライバーが安全に働ける状態を確保する責任を負っています。この責任は、体調不良や過重な負荷を放置せず、適切に対処することを求めるものです。
仮に睡眠不足を訴えるドライバーを乗務させたり、健康診断の所見を放置したりすれば、事故や労災、損害賠償へと発展するリスクが高まります。現場では「異常の早期把握」「乗務可否の判断」「負荷の調整」という一連の流れを運用として確立することが求められるでしょう。
健康に起因する事故における責任範囲
健康に起因する事故であっても、企業の管理不足があれば責任を問われる可能性があります。事故原因が個人の体調だけでなく、管理体制の欠落として評価されるケースが実際に存在するためです。
たとえば、点呼が形骸化していたり、ドライバーからの申告が握りつぶされたりしている場合や、長時間運転を繰り返す配車が常態化している場合が該当します。企業が管理できる範囲として、運行計画、勤務設計、点呼の実施、受診勧奨といった項目を明確にし、やるべき対応の線引きを示すことが重要です。
労災判断に影響する管理実態
労災の判断では、発生した事象そのものだけでなく、日頃の管理実態も評価の対象となります。記録や手順が整備されていない場合、予防できたにもかかわらず放置したと受け取られやすいためです。
具体的には、健康診断後の面談や就業上の措置が未実施であったり、長時間労働の是正が行われていなかったり、点呼記録が曖昧なままになっているケースが挙げられます。何を記録として残すべきか、すなわち点呼内容、勤務状況、面談記録、講じた措置といった項目を具体化し、監査や紛争対応にも耐えうる形で整備しておくことが求められるでしょう。
委託運行における管理責任
運行を委託した場合でも、発注側の責任がゼロになるわけではありません。実務上、発注側が運行条件や現場のルールを決定し、事故発生時にはその運用実態が問われるためです。
たとえば、無理なダイヤを要求したり、休憩が取れない運行設計を押しつけたり、体調不良時の代替手配に関するルールが存在しない場合が該当します。契約と運用の両面で、役割分担、情報共有の方法、乗務可否の判断経路を明記することが、実装可能な対策となるでしょう。
ドライバーの健康起因リスクが顕在化しやすい場面
ここでは、健康に起因するリスクが実際に表面化しやすい具体的な場面について見ていきましょう。
睡眠不足による注意力の低下
睡眠不足は、事故リスクを押し上げる典型的な要因として認識されています。注意力や判断力が低下し、ヒヤリハットが増加しやすくなるためです。
早朝からの連続勤務、夜間勤務と早朝勤務の組み合わせ、休息時間が短い運行、休憩を取れない待機状態などが該当します。対策としては、睡眠時間の自己申告、勤務計画の見直し、乗務停止基準の設定をセットで整えることが有効です。
疾病の急変による運転不能
持病の悪化や体調の急変は、突然起こる前提で備える必要があります。発生時には本人の意思では制御できず、同乗者や周囲への被害が大きくなる可能性があるためです。
めまいや失神、胸痛、低血糖、強い腹痛といった症状により、安全に停車できない状況が生じることがあります。異変が起きた際の手順として、停車方法、連絡先、代替手配、救急対応を事前に決めておくことが重要です。
熱中症による判断力の低下
夏季における熱中症は、現場で起こり得る業務上のリスクとして管理対象に含める必要があります。初期段階では本人が気づきにくく、判断力の低下が運転操作に影響を及ぼすためです。
車内での待機時間が長い場合や、渋滞で冷房の効率が落ちる場合、水分補給のタイミングが確保できない場合、炎天下での積み下ろし作業などが該当します。水分補給、休憩時間の確保、適切な装備、運行計画の見直しを運用に落とし込み、点呼で注意喚起する流れを整えましょう。
薬剤の影響による運転リスク
薬剤による影響、特に眠気や注意力の低下は、自己判断に任せず、申告と判断の仕組みで管理することが求められます。市販薬であっても副作用が存在し、本人が過小評価しやすいためです。
風邪薬や抗アレルギー薬による眠気、服薬タイミングのズレ、医師の指示を確認しないまま乗務するケースなどが挙げられます。申告しやすい雰囲気づくり、乗務可否の判断基準、代替手配の用意といった具体策を整えることが有効でしょう。
企業が整えるべき健康管理の運用設計
ここでは、健康管理を実効性のある形で運用するために、企業が整備すべき具体的な仕組みについて解説します。
点呼での体調確認
点呼は健康リスクを把握する入口として、形式的な確認ではなく、判断につながる実質的な確認にする必要があります。出発前に拾える異常が多く、乗務を止める判断ができる唯一のタイミングとなりやすいためです。
睡眠時間、自覚症状、服薬状況、飲酒の有無、疲労感といった項目を質問し、該当する事項があれば管理者の判断へエスカレーションする流れを整えましょう。質問項目を固定し、基準に沿って判断し、記録に残すという3点を具体化することが重要です。
申告しやすい職場設計
体調不良を申告できる環境があるかどうかが、健康管理の実効性を左右します。申告しにくい職場では、点呼や制度が存在しても実態として機能しないためです。
申告すると評価が下がる雰囲気がある場合や、代替要員がおらず迷惑扱いされる場合、管理者が聞いても流してしまう場合などが該当します。申告を安全行動として評価する軸を設け、代替手配を用意し、管理者が声をかける具体例まで示すことが求められるでしょう。
勤務計画による負荷調整
健康管理は個人の努力に委ねるのではなく、勤務計画で負荷を下げる設計が要点となります。睡眠不足、疲労、体調悪化といった問題は、運行と休息の設計によって発生確率が変わるためです。
連続勤務の上限設定、早朝勤務や夜間勤務の偏り回避、休憩取得を前提とした配車、繁忙期の増員といった対策が考えられます。まずは高負荷となるパターンを洗い出し、ルール化し、例外が生じた際の承認フローを整えることから始めましょう。
受診勧奨の判断ルール
受診勧奨は、誰が、いつ、どの状態で行うかを事前に決めておくべきです。属人的な判断に任せると先送りが起こり、事故や重症化の原因となりやすいためです。
健康診断の所見区分ごとに対応を分け、再検査や就業上の配慮を行うことや、点呼で症状が続く場合には受診を促すことなどが挙げられます。判断表を用意し、乗務停止、配置転換、面談といった対応の流れをセットで示すことが有効でしょう。
記録とフォローの運用
記録は実施した証明としてではなく、次の判断に使う情報として位置づける必要があります。継続的なフォローがなければ、同じ不調や負荷が繰り返されるためです。
点呼記録の異常フラグ、受診結果の共有範囲、就業上の措置の実施日、再発時の対応といった項目を整理しましょう。最低限の記録項目と保管ルール、フォローの担当者と期限を明確にすることが求められます。
まとめ|責任論ではなく「止められる仕組み」を持てるかどうか
ドライバーの健康起因事故は、個人の問題として処理できる時代ではなくなっています。事故発生時に問われるのは、結果そのものだけでなく、日頃の管理体制と運用実態です。
重要なのは、「体調管理を徹底させること」ではなく、無理な乗務を止められる仕組みを持っているかどうか にあります。
点呼での実質的な確認、申告しやすい職場設計、勤務計画による負荷調整、受診勧奨の判断ルール、そして記録とフォローの運用。これらが単発の取り組みではなく、一連の設計として機能しているかが企業責任を左右します。
自社で内製している場合も、運行を委託している場合も、最終的に問われるのは「その体制で本当に止められるか」という視点です。
今は大きな問題がなくても、「この運用は実際に機能しているだろうか」と感じたときが、一度立ち止まって設計を見直すタイミングかもしれません。
株式会社ビジネスサポートでは、現在の運行状況や管理体制を整理し、現場に無理がかからない形で実行可能な運用設計を検討しています。
比較検討の一つとして、情報整理から始めてみるのも一つの方法です。
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