2026.02.27
カテゴリ:法務/労務管理/規制
タグ:ノウハウ
白ナンバー送迎の違法ラインとは?知らないと危険な典型パターンを紹介白ナンバーでの送迎は、やり方を一歩間違えるだけで道路運送法違反として刑事罰の対象になる可能性があります。「謝礼名目だから大丈夫」「実費しかもらっていない」という思い込みが、実は最も危険なグレーゾーンに踏み込んでいるケースも少なくありません。
違法と合法の境界線は「お金をもらっているかどうか」だけでは判断できず、契約構造や価格設計まで含めた総合的な視点が必要です。
この記事では、白ナンバー送迎がどこから違法になるのかを具体的なパターン別に解説し、安全に運用するための判断基準をお伝えします。
白ナンバー送迎における法規制の全体像
白ナンバー送迎の違法性を正しく理解するためには、まず法律がどのような行為を禁止しているのかを把握する必要があります。ここでは、規制の根拠となる法律、違反時の罰則、そして裁判所が示した判断基準を解説します。
道路運送法78条が定める有償運送の禁止
白ナンバー車両で人を運ぶ行為そのものは、違法ではありません。違法になるのは「対価を受け取って人を運ぶ」場合です。
道路運送法78条は、自家用車を有償で運送の用に供することを原則として禁止しています。旅客の安全を守るために、有償で人を運ぶ事業には許可制度が設けられており、自家用車にはその安全管理体制が求められていません。
タクシーやバスが緑ナンバーを掲げているのは、この許可を受けている証拠です。白ナンバーで同じ行為を行えば、「白タク」「白バス」として取り締まりの対象になります。
つまり、違法ラインを分ける最大の基準は「送迎に対する対価を受け取っているかどうか」です。
違反時に科される罰則の内容
白タク行為は、軽微な交通違反とは次元が異なる刑事罰の対象です。
無許可で旅客運送事業を経営した場合、道路運送法96条により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
「知らなかった」で済まされる重さではないため、違法ラインの正確な理解は事業者にとって不可欠です。
「対価性」の判断基準
違法かどうかの判断は、金額の大小や名目ではなく「運送の対価としての合意があったかどうか」で決まります。
金額が決まっていなくても、実際にお金を受け取っていなくても、運送に対する合意が存在すれば違法と評価される可能性があります。
「お金を受け取っていない」という事実だけでは安全とは言えません。契約や合意の構造そのものが問われる点を、押さえておく必要があります。
違法と判断される典型的な6つのパターン
具体的にどのような行為が違法と判断されるのか、実務でよくある6つのパターンを見ていきましょう。
送迎料の別建て徴収
送迎に対して独立した料金を設定し、請求する行為は、ほぼ確実に違法になります。
送迎料という名目で金銭を受け取ることは、道路運送法上の反対給付(対価)に直接該当します。例えば「空港→施設まで送迎◯円」という料金表を掲示したり、見積書に「送迎費」として計上しているケースです。
金額が数百円であっても数千円であっても、運送の対価を受け取っている構造自体が問題になります。
謝礼名目での事前金額提示
名目を「謝礼」に変えたとしても、事前に金額が決まっていれば実質的な対価とみなされます。
国交省のガイドラインでは、謝礼は「任意かつ偶発」である必要があると明示されています。つまり、利用者が自発的に渡すものでなければ、対価と評価される可能性が高いでしょう。
「お気持ちで結構ですが、相場は◯円です」のような案内は、任意を装った定額徴収の典型です。行政側もこのパターンを想定しており、名目だけの変更では違法性を回避できません。
実費を超える定額の徴収
「ガソリン代だけいただいています」という説明があっても、実際のコストを超えている場合は対価と評価されます。
ガイドラインでは、実費として収受できる範囲が燃料代・有料道路代・駐車場代などに限定されています。距離に関係なく「ガソリン代一律1,000円」のような定額を徴収する運用は、実費を超えている場合、違法と判断される可能性があるでしょう。
実費徴収を行うのであれば、項目を限定したうえで、領収書や運行記録など、根拠を説明できる体制を整えておくことが欠かせません。
不特定多数への反復的な集客行為
広告やSNSを使って不特定多数から集客し、有償で送迎を行う行為は、最も摘発リスクが高い類型です。
反復性と不特定性が揃うと、道路運送法4条の「一般旅客自動車運送事業の無許可経営」に該当しやすくなります。「◯◯空港お迎えします」「相乗りOK」とSNSで投稿して集客するケースは、白タク行為の典型例として取り締まりの対象です。
たとえ善意からの行為であっても、不特定多数への反復的な有償運送は例外なく違法と判断されます。
送迎利用者だけへの料金上乗せ
送迎の有無で本来のサービス料金に差をつけている場合、その差額が運送対価と評価される可能性があります。
付随送迎として合法に整理するためには、「送迎の有無で対価関係が変わらない」構造でなければなりません。宿泊プランで「送迎あり◯◯円/送迎なし△△円」のように明確な差額を設定しているケースでは、差額分が運送対価と見なされるリスクがあります。
価格設計そのものが違法性の判断材料になるため、料金表示と契約内容の整合を確認しておくことが重要です。
合法な白ナンバー送迎を行うための選択肢
違法ラインを理解したうえで、合法に白ナンバー送迎を行うための具体的な選択肢を紹介します、
対価を取らない付随送迎の設計
自社のサービスに付随する無料送迎であれば、許可や登録なしで運用できます。
国交省のガイドラインは、送迎が宿泊・教育・介護などの主サービスに付随し、送迎に対する対価を取らない構造であれば「許可・登録を要しない運送」と整理しています。ホテルの無料シャトルバス、学校のスクールバス、通所介護施設の利用者送迎などが代表的な例です。
ただし、この整理が成立するためには、広告表示や旅行日程表、料金設計のすべてにおいて「付随・無料」に矛盾がないことが前提になります。実態として対価が発生していると判断されれば、付随送迎とみなされないため注意してください。
自家用有償旅客運送への登録
交通空白地域での住民送迎や福祉輸送の場合は、登録を受けることで白ナンバーでの有償運送が認められる制度があります。
道路運送法79条に基づく「自家用有償旅客運送」の登録制度です。自治体やNPO法人が地域の協議会手続きを経て、安全管理体制を構築したうえで登録を受けます。過疎地域での住民バスや、福祉有償運送として登録しているNPO法人がこの制度の活用例です。
ただし、対象者・実施地域・運行体制に制度上の要件が定められており、登録さえすれば自由に運用できるわけではありません。自社の送迎がこの制度に該当するかどうか、事前に運輸局に確認することをおすすめします。
送迎代行サービスへの業務委託
緑ナンバーの許可事業者や送迎代行サービスに業務を委託すれば、法的リスクをゼロにすることができます。
許可を受けた事業者が運送を行うため、道路運送法の規制は完全にクリアされた状態になります。車両の手配からドライバーの管理、運行計画の作成まで一括で対応してもらえるため、自社でドライバーを確保する負担もなくなるでしょう。
法令リスクの排除に加え、人員確保や車両管理にかかるコストも解消できます。自社で合法な送迎体制を構築するのが難しい場合は、トータルコストの面からも合理的な選択肢といえます。
白ナンバー送迎の違法ラインを把握しておこう
白ナンバー送迎の違法ラインは、「送迎に対する対価を受け取っているかどうか」が最大の判断基準です。名目を「謝礼」や「実費」に変えるだけでは違法性を回避できず、金額の未定や未回収は安全策にはなりません。
安全に運用するためには、「付随送迎として対価性を消す設計」「登録制度の活用」「送迎代行サービスへの業務委託」のいずれかのルートを選択する必要があります。自社の送迎がどこに該当するかを見極め、必要に応じて運用の見直しを検討してみてください。



























