2023.03.29
カテゴリ:法務/労務管理/規制
タグ:ドライバー派遣
ドライバー派遣は法律で禁止されている?仕組み・注意点を解説企業の送迎業務は、他の業務で多忙な企業にとっては正直負担が大きいですが、そんなときに活用したいのが派遣ドライバーです。派遣ドライバーとは、バスの運転やお客様の送迎業務などの際に利用者を送り届ける自動車運行管理請負業です。
そんな便利な派遣ドライバーですが、活用する際に気をつけなければいけないのが、活用にあたっての法律です。法律を理解しておかないと、思わぬ形で法律に抵触してしまったり、違反となったりしてしまう恐れがあります。
そこで本記事では、派遣ドライバーを活用する際に気を付けるべき法律について詳しくご紹介します。
送迎バスに手が回らず、「なんとなく」で運用してしまっている方へ
「他の業務に追われ、属人的に運用している」
「長年外注しているが、契約内容を見直したい」
このようなお悩みは、車両運行管理業の専門【ビジネスサポート】にご相談ください。日常の送迎業務だけでなく、ドライバーの採用・労務管理、送迎ルートの作成、車両点検、もしもの事故対応まですべて請け負います。ご用意していただくのは車両だけです。
想定送迎人数もしくは車両台数、1日の想定稼働時間帯、地域、週間稼働日数を記載いただければ、最短翌日に見積もりをお出しします。
派遣ドライバーは利用方法によって違法なこともある
派遣ドライバーとは、学校の送迎バスや医療機関の送迎、役員車の運転など利用者を送り届ける自家用自動車運行管理請負業です。送迎業務を任せられるスタッフの確保が難しかったり、送迎業務まで実施できるほどの余裕が無かったりする際に、派遣ドライバーに依頼することで送迎業務を任せることができます。
昨今では働き方の見直しなども実施されており、社内環境の整備に努める企業が増えている中、派遣ドライバーの需要が高まっています。
派遣ドライバーに関する法律
企業の送迎業務の負担を減らしてくれる派遣ドライバーですが、活用する際には労働に関する法律面で気をつけなければなりません。ドライバー派遣に関係する法律は、「労働者派遣法」というものがあります。
派遣ドライバーは、送迎業務の負担を減らしたい企業においてドライバーを確保できるというメリットがありますが、しっかりと労働してくれる派遣ドライバー側にも労働上の安全を確保しなければなりません。労働者が不利益を被ることのないように労働者派遣法という一定のルールが設けられているのです。
労働者派遣法は厚生労働省のHPから確認することができます。第1章の第1条にはこのように書かれています。
(目的)
第一条
この法律は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。
このように事業の適正な運営と労働者の保護を実施する目的となっています。
労働者派遣法に違反するケース
労働する上での法律である労働派遣法ですが、実際にはどのような点で気を付けていけば良いのでしょうか?ここからは、労働派遣法の法律違反を犯しがちなケースを解説していきます。労働を管理する側として、違反しないように確認しておきましょう。
同じ労働場所に3年を超えて派遣する
派遣ドライバーの派遣期間が最長3年と決められています。3年を超えて同じ場所で派遣ドライバーとしての業務は実施できません。うっかり3年を超えて派遣してしまうと、法律違反になります。派遣ドライバーの管理を徹底しましょう。
派遣ドライバーへの事前面接を行う
派遣ドライバーを受け入れた企業が、派遣ドライバーと直接事前面接を行うことは禁止されています。また、履歴書の提出依頼も行うことは法律違反となります。もちろん費用をかけているので、心配になる気持ちは分かりますが、派遣ドライバーを依頼した企業に求めている人材をしっかりと伝えてミスの内容にしていきましょう。
派遣ドライバーへ就業条件等を説明しない
派遣ドライバーを受け入れた企業は、派遣ドライバーへ就業条件等の説明をする義務があります。労働者派遣法で定められており、労働に関する内容・条件を事前に説明することが必須となります。
書類の渡し忘れや、説明不足などの理由で、労働者派遣法に違反することのないように、労働する上での説明義務を忘れないようにしましょう。
労使協定の締結を報告しない
労使協定を労働基準監督署へ提出しなければ、労働者派遣法の違反になります。
労使協定とは、労働者と事業主との間で決める、労働する上での協定で、労使協定を締結させることは労働基準法で定められています。
労使協定を締結した場合、労働基準監督署へ書面の複写を事業報告書と一緒に提出することが必要です。もし、提出・報告を実施しなかった場合は、労働者派遣法の違反となります。
労働者派遣の種類
労働者派遣には、大きく分けて次の2種類があります。
- 1.労働者派遣事業
- 2.紹介予定派遣
それぞれの特徴や違いを解説します。
1.労働者派遣事業
労働者派遣事業とは、派遣元の事業者が、派遣先事業者の依頼を受けて、労働者を派遣先事業者へ派遣する派遣する事業のことです。ドライバー派遣も、労働派遣事業に該当します。
派遣元事業者と労働者の間に雇用関係があり、派遣先事業者と派遣元事業者の間では労働者派遣契約が結ばれるシステムです。労働者は派遣先企業からの指揮命令を受け、派遣先企業に労務を提供します。一般的に、派遣期間中に労働者と派遣先で直接雇用契約を結ぶことはできません。
2.紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、派遣期間後に派遣先企業で働くことを前提とし、試用期間としてスタッフを派遣する制度のことです。労働者派遣事業の場合には禁止されている事前面談や派遣期間中の直接雇用契約も、紹介予定派遣なら可能です。
労働者派遣事業の派遣期間は最長3年間ですが、紹介予定派遣は試用期間であるという前提のもと、派遣期間は最長6ヶ月に制限されています。
ドライバーの派遣を依頼するメリット
ドライバーの派遣を依頼するメリットは、次の4つです。
- 1.必要な時だけ依頼できる
- 2.欠勤時に代理のドライバーを探す必要がない
- 3.費用・時間・手間を抑えられる
- 4.事故対応を任せられる
ドライバー派遣は、必要なときだけの依頼も可能です。例えば、繁忙期だけ送迎バスの台数を増やしたい、イベント時に送迎バスを運行したいといった場合の依頼も可能です。
また、ドライバーの欠勤時に、代理のドライバーを探す必要もありません。ドライバーが欠勤した場合には、派遣元の業者が代理のドライバーを手配します。
費用や時間、手間などのコストを抑えられる点もメリットです。自社でドライバーを雇う場合、人件費だけでなく業務中の連絡用端末なども用意しなければなりません。
ドライバーの雇用や送迎車両の運行には労務管理やルート作成などさまざまな手間がかかりますが、ドライバー派遣を利用すれば、そうした事務作業も依頼できます。
事故対応を任せられるのも、ドライバー派遣のメリットです。通常業務に加えて事故対応となると、動揺してしまいうまく対応できないこともあります。ドライバー派遣では、プロの担当者が事故対応を行うため、安心して任せられます。
自社でドライバーを採用するメリット
自社でドライバーを採用するメリットは、次の3つです。
- 1.運転以外の業務も依頼できる
- 2.直接採用活動ができる
- 3.自社に合わせた研修を実施できる
ドライバー派遣を利用した場合、運転やそれに関わる業務以外は依頼できません。しかし、自社でドライバーを採用した場合、送迎が必要な時間は運転、それ以外の時間で清掃を行うといったように、運転以外の業務も依頼できます。
ドライバー派遣を利用する場合には、直接ドライバーと面接して採用することはできませんが、自社で採用する場合には、書類選考や面接などを実施して、自社に合う人物を採用可能です。
自社に合わせた研修ができるのも、直接ドライバーを採用するメリットです。送迎の際に特別な対応や資格が必要な場合、自社でドライバーを採用した方がよいケースもあります。
ドライバー派遣利用の注意点
ドライバー派遣を利用する際には、次の2点に注意しましょう。
- 自動車運行管理業に依頼する場合は、車両を自分たちで用意しなければならない
- 安全運転管理者を選任する
それぞれの項目について、詳しく解説します。
自動車運行管理業に依頼する場合は、車両を自分たちで用意しなければならない
自動車運行管理業とは、運転だけでなく車両の管理や整備・修理など、車を使った業務に必要なメンテナンスや事務作業も含めて代行する業者です。ただし、道路運送法では、請負業者による車両の準備が禁じられています。そのため、自動車運行管理業にドライバー派遣を依頼する場合には、自社で車両を用意しなければなりません。
自動車運行管理業ってそもそも何という方は「自家用自動車運行管理請負業とは?サービス内容や委託のメリットを解説」もご覧ください。
安全運転管理者を選任する
規定台数以上の車両を保有している事業者は、安全運転管理者を選任しなければなりません。安全運転管理者とは拠点ごとの責任者のことです。安全運転管理者を選任しなければならない事業所の条件は次の通りです。
安全運転管理者 |
・11人以上の自動車の場合を1台所有している ・その他の自動車を5台以上所有している 上記のいずれかに該当する場合1名の配置が必要 |
副安全運転管理者 |
・20台以上の車両を所有する場合に1名の配置が必要 ・以降、20台ごとに1名追加で配置が必要 |
50cc以上の自動二輪車は0.5台としてカウントします。また、複数の事業所がある場合には、事業所ごとに安全運転管理者の選任が必要です。
安全運転管理者の資格要件については「安全運転管理者とは?運行管理者との違いや資格要件・業務内容を解説」もご覧ください。
まとめ◆法律を理解して派遣ドライバーを活用しよう
ドライバー派遣に関する法律や違反するケースについて解説しました。非常に便利なドライバー派遣ですが、しっかりと法律を理解したうえで活用しなければ、知らない間に違法となってしまう恐れもあります。
しかし、ちゃんと法律を順守すれば、ドライバー派遣は企業を助ける一助となるでしょう。今後の企業活動を円滑に進めていくために、ぜひ派遣ドライバーの活用を検討なさってみてください。
送迎バスに手が回らず、「なんとなく」で運用してしまっている方へ
「他の業務に追われ、属人的に運用している」
「長年外注しているが、契約内容を見直したい」
このようなお悩みは、車両運行管理業の専門【ビジネスサポート】にご相談ください。日常の送迎業務だけでなく、ドライバーの採用・労務管理、送迎ルートの作成、車両点検、もしもの事故対応まですべて請け負います。ご用意していただくのは車両だけです。
想定送迎人数もしくは車両台数、1日の想定稼働時間帯、地域、週間稼働日数を記載いただければ、最短翌日に見積もりをお出しします。
記事の内容に関して、電話での問い合わせを一時受付停止しております。記事に関する質問・問い合わせはお問い合わせフォームよりお寄せください。