2026.09.15
カテゴリ:運行管理
物流倉庫の従業員送迎|夜勤シフトの通勤対応と委託方法を解説
幹線道路沿いに建つ倉庫には、最寄り駅から車で20分以上かかる立地が多くあります。路線バスが1時間に1本しか走っていない地域もあります。夜勤や早朝のシフトで募集をかけても、応募は集まりません。採用できても、通勤の負担を理由に数か月で辞めてしまう方が出ます。
通勤の手段を会社が用意する従業員送迎は、応募が集まらない状態を変える方法の一つです。ただし、始めるにあたっては、車両の大きさや便の数、運転手の確保を自社で決めることになります。
この記事では、物流倉庫で従業員送迎が必要になる背景をまとめました。あわせて、当社に寄せられた問い合わせ423件で見えた実態と、外部へ委託する方法まで解説します。自社の状況と照らしながら読み進めてみてください。
物流倉庫で従業員送迎が必要になる背景
夜勤の求人だけ応募が集まらないのは、倉庫の立地と夜勤のシフトが重なっているためです。ここでは、物流倉庫で従業員送迎が必要になる背景を2つの面から解説します。
倉庫は最寄り駅から離れた郊外に建っている
物流倉庫を建てる会社は、広い敷地と大型トラックの出入りを前提に用地を選びます。選ばれるのは、幹線道路沿いや内陸の工業団地です。鉄道の駅前でまとまった面積を押さえるのは難しいためです。
当社に寄せられる従業員送迎の相談でも、最寄り駅から数kmから数十km離れた拠点の話が目立ちます。路線バスが1時間に1本しかなく、始業時刻に間に合う便は朝の1本だけという倉庫や工場もめずらしくありません。そうした立地では、路線バスに乗れなかった従業員は、遅刻か欠勤になってしまいます。
倉庫を建てたあとで立地は簡単には変えられません。何らかの不都合が生じている場合、通勤の手段は会社側で用意する必要があります。
夜勤と早朝の時間帯は従業員が公共交通機関を使えない
24時間稼働の倉庫では、従業員の始業と終業が電車とバスの運行時間外になるケースも珍しくありません。深夜0時に作業が終わる従業員は、始発を5時間近く待つか、自家用車で帰るかのどちらかになります。
当社に寄せられる相談で繰り返し届くのは、朝6時台の出勤に合わせた便です。夜21時から24時にかけての退勤に合わせた便も、同じように求められます。始発前と終電後は鉄道もバスも動かないため、公共交通機関で倉庫まで通える従業員が一人もいません。
日勤の従業員は公共交通機関で通える立地であっても、夜勤と早朝のシフトに入る従業員は自家用車がなければ通えません。夜勤の求人に人が集まらない原因には、時給や作業の内容に加えて、倉庫まで通う手段の有無があります。通勤手段を用意できないために応募を見送る人もいます。
自社のシフト表を開いて、始発前と終電後に通勤が必要な勤務が何名分あるかを確認してみましょう。
問い合わせ423件から見る物流倉庫の従業員送迎の実態
同じ立場の企業がどれくらいの規模で送迎を運行しているかは、自社の便数を決める材料になります。ここでは、当社に寄せられた問い合わせの集計から、物流倉庫の従業員送迎の実態について解説します。
物流・運送は従業員送迎の相談で製造業に次いで多い
当社には、2021年度から2026年7月までに2,644件の送迎の相談が寄せられました。そのうち423件が従業員送迎に関するものです。
業種が記録されている422件を集計すると、物流・運送は46件で10.9%を占めます。製造業の236件(55.9%)に次ぐ2番目の業種にあたります。製造業と物流・運送を合わせると282件で66.8%です。従業員送迎の相談の3分の2を、2業種が占めました。
特に郊外に拠点を置いている会社からは、多くの相談が集まります。物流・運送からは、5年あまりで46件の相談が届いています。自社で従業員送迎を検討する際は、同じ業種でどのように便数や車両の規模を決めているかを委託先に尋ねてみましょう。
大型の運行は物流拠点に集中する
物流拠点や大型の工場では、100名を超える大型の従業員送迎も珍しくありません。特に倉庫では、入荷、仕分け、出荷の工程を同じ時間帯に多人数で進めなければならないため、1つの時刻に送迎する人数が、他の業種より多くなります。
当社に寄せられる相談でも、運行は7時から8時台と17時から18時台に集中しています。規模は朝2便と夕3便から、朝10便と夕10便まで幅があります。便の数は従業員の総数ではなく、交代時刻ごとの出勤人数で決まると考えておきましょう。
また、複数台の車両を使った運行と、大型の車両を使った運行ではどちらが自社に合うかも考えてみてください。
物流倉庫の従業員送迎を外部に委託して負担を減らす方法
送迎を自社で運行する場合、車両と運転手を確保するだけでなく法令上の手続きや日々の記録も必要です。ここでは、自社で運行する場合に生じる負担と、外部へ委託する方法について解説します。
委託を検討する前に自社運行の負担を見積もる
送迎用の車両を自社で持つと、会社は安全運転管理者を選ばなければなりません。警察庁の「安全運転管理者制度の概要」では、乗車定員11人以上の自動車が1台以上、またはそれ以外の自動車が5台以上で対象になります。
例えばマイクロバスを1台導入した場合には安全運転管理者を専任し、15日以内に都道府県公安委員会へ届け出なければなりません。安全運転管理者を選任したあとは、日々の業務として点呼と運転日誌の記録が必要です
夜間の便では、運転手をもう1人配置しなければならない場合があります。道路交通法施行規則は、交替の運転者をあらかじめ配置するよう求めています。配置が必要なのは、運転者が疲れなどで安全な運転を続けられないおそれがあるときです。便ごとに、2人体制が必要かどうかを見きわめましょう。
厚生労働省の「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」では、深夜業を午後10時から午前5時までとしています。運転手が午後10時から午前5時のあいだに運転する便では、会社が2割5分以上の割増賃金を負担します。
倉庫には配送用のトラックと運転手がいるため、送迎も配送ドライバーに任せれば良いのではないかと考えることもあるでしょう。ただし、車の運転を仕事にしている従業員は、厚生労働省の「改善基準告示」の対象です。送迎に充てた時間も、そのまま拘束時間に加わることを考慮して業務を割り振らなければなりません。
委託先の業者を選定する
自社で運行した場合の負担を見積もったうえで、委託先の業者を選定しましょう。送迎業務を委託すると、多くの場合車の運転だけでなく、車両の点検やメンテナンス、ルートの作成も任せられます。また、ドライバーの労務管理が不要となる点もメリットです。
委託業者を選定する際には、まず対応エリアを確認したうえで、自社の希望する時間帯に運行できるかどうかを確認しましょう。さらに、ドライバーにどのような教育をしているか、ドライバーが欠勤した場合にはどのような対応をしてもらえるか、繁忙期には便数を増やせるかといったポイントをチェックします。
問い合わせから運行までには半年程度の時間がかかる場合もあるため、従業員送迎の実施を検討する場合には、早めに委託業者に相談してください。
物流倉庫の従業員送迎は交代時刻ごとの出勤人数から組み立てる
物流倉庫は郊外に建つため、最寄り駅から数kmから数十km離れています。24時間稼働の倉庫では、夜勤と早朝のシフトに入る従業員が自家用車なしで通えません。
自社で従業員送迎を実施するにはさまざまな負担が発生しますが、外部に委託することで自社の負担を減らしつつ、安全に送迎を実施できます。運行の開始時期が決まっている場合には、半年前を目安に相談しておくと、余裕を持って車両の手配やルートの作成を進められます。
この記事を参考に、自社での従業員送迎について考えてみてください。





























