2025.01.29
カテゴリ：セミナー
タグ：外国人材採用
外国人ドライバーの採用が可能に！特定技能制度導入による変化とは？
物流業界において、人手不足は長年の課題となっています。特に2024年問題を背景に、働き方改革が進む中で、トラックドライバーの不足はさらに深刻化しています。「どうにかして人手を確保しなければ」と焦りを感じている運送業界の経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、2024年3月に運送業が対象業種として追加された特定技能制度に注目し、その導入による変化や具体的なポイントについて解説します。特定技能制度の基本的な仕組みから、給与条件、福利厚生、採用時の注意点まで、知っておくべき情報を網羅しています。
特定技能制度は、即戦力となる外国人ドライバーを採用するための新しい仕組みです。この制度を適切に活用することで、企業は人手不足を解消し、業務効率を向上させるだけでなく、職場環境を改善する可能性も秘めています。
本記事を最後まで読むことで、特定技能制度のメリットと運用方法を具体的に理解し、外国人ドライバーの採用を検討する際の自信と方向性を得られるでしょう。
この記事を参考に、外国人ドライバーの採用について検討してみてください。
外国人ドライバーの特定技能制度導入による変化
2024年3月、特定技能制度に「運送業」が追加されました。特定技能制度とは、人手不足の業界において一定の専門性や技能を持った外国人材の受け入れを可能とする制度のことです。在留資格「特定技能」として、入国が可能となります。
これまでは、運送業で就労ビザを取得するのは難しく、雇用できるのは永住者や日本人の配偶者、留学生など就労制限のないビザを持っている外国人だけでした。人材不足を解消するため、積極的に外国人を雇用するのは難しい状況だったといえるでしょう。
しかし、特定技能制度に運送業が追加されたことで、ドライバーとして働くことを目的に来日する外国人を雇用できるようになりました。特定技能には1号と2号があり、今回運送業が追加されたのは1号です。特定技能1号の場合、外国人ドライバーは最大5年間の在留が可能となるため、企業にとっては長期的な雇用計画を立てやすくなったといえるでしょう。
運送業への特定技能制度導入の背景にあるのは、物流業界で話題となった2024年問題です。働き方改革の影響により、運送業界では大きな人手不足が発生することが、以前から話題になっていました。
そこで、特定技能制度を導入し外国人ドライバーを採用できるようにしたことにより、運送業の人手不足を解消しようと考えたのです。特定技能制度の導入は、企業と外国人労働者の双方にメリットをもたらす大きな変化だといえます。
外国人ドライバーを採用する前に知っておくべきポイント
外国人ドライバーを採用する前には、以下のポイントを押さえておきましょう。それぞれ、詳しく解説します。
- 給与条件
- 労働時間
- 福利厚生
- 採用条件
給与条件
特定技能制度では、外国人ドライバーに日本人と同等以上の報酬を支払うことが義務付けられています。外国人だから、特定技能制度での就労だからといった理由で日本人と異なる報酬体系を採用することは認められていません。
外国人労働者から見れば、労働条件の公平性を確保し、安心して働ける環境を整えるために重要なポイントだといえるでしょう。
技能実習生の制度を導入している業界では、過去に外国人が低賃金で働かされるケースが問題となったこともありました。特定技能制度では、これらの不公平を解消し、外国人労働者が日本での生活基盤を築ける水準の賃金を保証しています。
法令を遵守する意味ではもちろん、外国人ドライバーのモチベーションを高め、企業の競争力を強化するためにも適切な給与条件の設定は欠かせません。
労働時間
特定技能制度では、外国人労働者にも労働基準法が適用されます。過重労働を防ぎ適切な労働環境を維持するためにも、労働基準法の遵守は欠かせません。
物流業界は労働時間が長いことで知られていますが、働き方改革の推進と特定技能制度の導入により、労働時間の管理が厳格化されるようになりました。今後は、特定技能制度を利用して働いている外国人ドライバーだけでなく、日本人ドライバーも含めてより健康的な働き方が求められるようになるでしょう。労働者の健康を守ることは、企業の生産性向上にもつながります。
福利厚生
外国人ドライバーを雇用する企業は、日本人ドライバーを雇用する場合と同様に社会保険や労災保険への加入を義務付けられています。また、外国人ドライバーを雇用する場合には、住居の提供や生活支援が求められる場合もあります。
外国人ドライバーが安心して働ける環境を整えるためには、社会保険をはじめとした各種福利構成の充実に取り組む必要があるでしょう。特に積極的に外国人ドライバーを雇用したい場合には、住居費の補助や現地での生活サポートを重視すると、注目してもらえる可能性が高まります。
例えば、社員寮を用意する、日本語学習の支援を行うなどの方法が考えられます。福利厚生の充実は、外国人ドライバーの働きやすさを高める重要な要素です。
採用条件
特定技能1号を取得し日本で外国人ドライバーとして働くためには、自動車運送分野特定技能評価試験に合格しなければなりません。この試験では、運転技術や安全意識が問われます。
また、日本語能力試験ではN4以上の取得が必要です。日本で実務を遂行するために必要なスキルを身につけた人でなければ、特定技能1号は取得できないといえるでしょう。さらに、実際に業務を行うためには、業務に使用する車を日本で運転するための運転免許も必要です。
こうした採用条件をクリアした人材が外国人ドライバー候補として応募してくるため、業務のスムーズな遂行が期待できるでしょう。
外国人ドライバー採用における企業の課題
外国人ドライバーの採用においては、次のような課題もあります。それぞれ、詳しく解説します。
- 文化的・言語的サポート
- キャリア形成の支援
文化的・言語的サポート
外国人ドライバーの採用では、文化や言語の違いが大きな課題となります。ギャップを埋めるためには、企業が積極的にサポートを提供する必要があるでしょう。
例えば、異文化理解や日本語教育のプログラムを導入することで、誤解やトラブルを未然に防げる可能性があります。新しく採用する外国人ドライバーだけでなく、すでに働いている日本人ドライバーを対象に研修会を実施するのも効果的です。
文化的・言語的なサポートを積極的に実施することで、外国人労働者の定着率を高められる可能性があります。
キャリア形成の支援
外国人ドライバーが長期的に働くためには、キャリア形成の支援が欠かせません。2025年1月現在、運送業で利用できる特定技能制度は1号のみであり、2号の対象にはなっていません。
特定技能2号に認定されると在留期間の制限がなくなりますが、1号の場合在留期間は最大5年です。今後特定技能2号の対象となる可能性もありますが、現状では帰国後にどのような働き方をしたいのか、そのためにどのようなスキルを身につけたいのかを考慮しながらキャリア支援を行う必要があるでしょう。
自社の業務に必要かつ、外国人ドライバーの今後のキャリア形成に必要な技術向上研修などを行うことで、企業と労働者双方にとってメリットのある取り組みとなります。
外国人ドライバーの活用が運送業の人手不足解消の鍵
2024年3月、特定技能制度の対象に「運送業」が加えられました。
これにより、運送業界では外国人ドライバーを採用しやすくなりました。運送業界では人手不足に悩む企業も多いため、今後は外国人ドライバーの積極的な採用が見込まれます。
外国人ドライバーの採用には、文化的・言語的サポートやキャリア支援といった課題もあります。採用を考えているのであれば、そうした課題をどのように解決するかも一緒に考えておきましょう。
この記事を参考に、外国人ドライバーの採用について考えてみてください。
