2022.09.10
カテゴリ:安心/安全/教育
タグ:安全対策
NASVAの運転者研修とは?診断の種類や内容・対象者を紹介自家用自動車運行管理や送迎代行サービスなどを利用したいと考えている事業者も多いでしょう。自動車には交通事故のリスクがあるため、できるだけ安全に配慮した自動車運送事業者を選びたいけれど、どう選べばよいかわからないというご担当者様も多いかと思います。
安全性に配慮した自動車運送事業者かを見分けるひとつのポイントが、NASVAの運転者研修を受けているかどうかです。
今回は、NASVAの運転者研修について解説します。
事故を防ぐための運転者研修
運転者研修とは、適性診断とも呼ばれ主にバス・ハイヤー・タクシー・トラックなど自動車運送事業者の運転者を対象とした研修です。自動車の運転に関するクセを診断し、そのクセに応じたアドバイスを提供します。運転者研修は結果をもとにそれぞれにあった交通事故防止のアドバイスを行うものであるため、運転が可能かどうかの判断をするものではありません。
一定の条件に当てはまる人は運転者研修の受講が義務化されています。義務化の対象でなければ、研修を受けるかどうか任意で決められます。
運転者研修義務化の対象
運転者研修が義務化されている人は、バス・ハイヤー・タクシー・トラックなど自動車運送運送事業者の運転者のうち、次の条件に当てはまる人です。
初任運転者 |
新しく雇われた運転者 |
高齢運転者 |
65歳以上の運転者 |
事故惹起運転者 |
特定の事故を起こした運転者 |
初任運転者とは、事業者に新しく雇われた運転者のことを指します。運転業務が初めての人だけでなく、別の企業でドライバーとして働いていた場合も対象です。
事故惹起運転者は次の条件のうち、どちらかに当てはまる場合に該当します。
- 死亡または重傷事故を起こした運転者
- 軽傷事故を起こし、かつその直前3年間の間にも事故を起こしたことがある運転者
運転者研修の義務対象者の場合、それぞれ決まった内容の研修を受けなければなりません。
NASVAの運転者適性診断
運転者研修は、国土交通大臣の認定を受けた機関で受けなければなりません。そのうちのひとつがNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)です。NASVAでは自動車事故の発生防止と被害者への援護を行なっています。
運転者適性診断の種類
NASVAの運転者適性診断は、次の8種類あります。
種類 |
対象者 |
所要時間 |
手数料 |
一般診断 |
普通免許以上を持っている人 |
1時間20分 |
2,400円 |
カウンセリング付き定期診断 |
普通免許以上を持っている人 |
1時間40分 |
4,800円 |
特別診断 |
普通免許以上を持っている人 |
3時間 |
10,300円 |
初任診断 |
所属する運転事業者において、新たに運転者として採用された人 |
1時間40分 |
4,800円 |
適齢診断 |
自動車運送運送事業者の運転者のうち65歳以上の人 |
1時間40分 |
4,800円 |
特定診断Ⅰ |
死亡事故または重傷事故を起こした人のうち、直前の1年間に事故を起こしたことがない人 軽傷事故を起こした人のうち、直前の3年間に事故を起こしたことがある人 |
2時間 |
9,300円 |
特定診断Ⅱ |
死亡事故または重傷事故を起こした人のうち、直前の1年間に事故を起こしたことがある人 |
5時間 |
29,900円 |
一般診断・カウンセリング付き定期診断・特別診断は、普通免許以上を持っている人なら誰でも受講できます。特別診断では、一般診断よりさらに精密に特性の分析やアドバイスが行われます。
初任診断は、初任運転者を対象とした診断です。お客さんを乗せる場合は事業用自動車の運転者として選任する前に、荷物を運ぶ場合は初めて乗務する前に診断を受ける必要があります。
適齢診断は、65歳以上が対象です。個人タクシーの場合、事業の許可の更新を申請する前に診断を受けなければなりません。個人タクシー以外でお客さんを乗せる場合は、次の頻度で診断を受ける必要があります。
- 65歳に達した日から1年以内に1回、その後75歳まで3年以内ごとに1回
- 75歳に達した日から1年以内に1回、その後1年以内ごとに1回
荷物を運ぶ場合は、65歳に達した日から1年以内に1回、その後3年以内ごとに1回診断を受けなければなりません。
特定診断は、事故惹起運転者を対象とした診断です。事故の内容などによって特定診断Ⅰと特定診断Ⅱに適用されます。特定診断は、事故後再度乗務する前に受ける必要があります。
運転者適性診断の内容
診断で実施される項目は、診断の種類によって少しずつ異なります。どの種類でも共通で診断を受けるのが次の項目です。
- 動作の正確さ
- 判断・動作のタイミング
- 注意の配分
- 視覚機能
- 安全態度・危険性感受
このほか、初任診断・適齢診断・特定診断Ⅰ・特定診断Ⅱでは、性格特性の診断を行います。適齢診断では、さらに夜間視力も診断します。
一般診断とカウンセリング付き定期診断で行われるのは、疲労蓄積度の診断です。問診によって、疲労の感じ具合をチェックします。
測定後に行われるのが、測定の結果や優良な点・注意が必要な点・前回受診時との変化が書かれた診断票の発行です。事業者向けに受診したドライバーに対してのアドバイスの際に活用できる資料の添付もあります。
一般診断以外の診断では、診断結果をふまえてカウンセラーによる助言と指導も行われます。
運転者適性診断の受講方法
運転者適性診断を受講するには、インターネット・電話・FAXのいずれかの方法で予約を行います。インターネットで予約する場合には、事前に利用者IDとパスワードの発行が必要です。IDとパスワードがない場合には、最寄りのNASVA支所に問い合わせて発行してもらうか、他の方法で予約してください。
運転者研修を行っている事業者を利用しよう
運転者研修とは、主に自動車運送事業者の運転者を対象として行われる研修です。NASVAが行なっている運転者適性診断では、動作の正確さや安全態度・危険性感受などに関する診断を行い、それに基づいて専門家のアドバイスを受けられます。
運転者研修は交通事故を防止するために行われる研修ですが、特定の条件に当てはまる人をのぞき、診断を受けるかどうかは任意です。
自家用自動車運行管理や送迎代行を使うときには、より安全性の高い、運転者研修を行なっている事業者を選ぶのがおすすめです。
参考:運転者に対する教育|国土交通省
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