自動車運行管理ラボ

2025.02.16

カテゴリ：運行管理

タグ：ノウハウ

運行管理者資格とは？取得するメリットと試験概要をわかりやすく解説

運行管理者資格は、トラックやバス、タクシーなどの運送業で安全な輸送を管理するために必要な国家資格です。運送会社には法律で運行管理者の配置が義務付けられており、輸送の安全確保や運行計画の管理など、重要な役割を担います。

この資格はバス会社やタクシー会社、観光バス運営企業などでも必要とされ、業界を問わず安定したニーズがある資格のひとつです。

本記事では、運行管理者資格の概要や取得のメリット、試験のポイントについて詳しく解説します。資格について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

運行管理者の役割と業務内容

運行管理者は、事業用自動車の運行を安全かつ円滑に管理する役割を担う専門職です。

運送業界では、安全運行の確保や労働時間の適正管理が重要です。国土交通省の定めにより、一定台数以上の車両を保有する事業者は、運行管理者を選任する義務があります。

例えば、運行管理者の業務には以下のようなものがあります。

運行管理者はこうした業務を担うことで、企業の安全と効率性を支えるとともに、社会的にも重要な役割を果たしています。

運行管理者資格を取得するメリット

運行管理者資格の取得には、次のようなメリットがあります。それぞれ、詳しく解説します。

• 資格を活かして役職や収入の向上が期待できる
• 物流・運送業界での活躍の幅が広がる
• 働き方の選択肢が増え、業務の幅が広がる

資格を活かして役職や収入の向上が期待できる

企業には運行管理者を選任する義務があるため、資格を持つ人材は管理職候補として評価されやすい傾向があります。また、多くの企業では資格手当が支給されるため、収入アップにもつながるでしょう。

運行管理者資格を取得することで、単なるドライバーではなく、管理職やマネジメント職へのキャリアパスが開けます。収入面でも安定したメリットが得られるため、長期的なキャリア形成を考える人にとって有利な資格です。

物流・運送業界での活躍の幅が広がる

運行管理者資格を取得すると、物流・運送業界でのキャリアの選択肢が広がります。

運行管理者資格を取得すると、現場の業務にとどまらず、物流管理や安全対策を担うポジションに就くことも可能です。

例えば、運送業界で経験を積んだ後に資格を取得し、物流企業の安全管理部門などに移ることで、デスクワーク中心の業務へシフトする道もあります。このように、資格を取得することで、より働きやすい環境へキャリアをシフトできる可能性があります。

運行管理者資格は、運送業界で長く安定して働きたい人にとって、大きな強みとなる資格です。

働き方の選択肢が増え、業務の幅が広がる

運行管理者の業務は主にオフィスワークで、ドライバー経験がなくても活躍できる職種です。また、定年後の再雇用の機会も多く、長く働ける可能性が高まります。

例えば、年齢を重ねて体力的にドライバー職を続けるのが難しくなった場合でも、運行管理者に転向すれば肉体的な負担が軽減され、将来的にも安定した働き方を実現できるでしょう。このように、資格を取得することで、年齢に関係なくキャリアを継続できる環境を得られます。

運行管理者資格は、体力的な不安を感じる人や長く安定して働きたい人にとって、大きなメリットがある資格です。

運行管理者資格の試験概要

運行管理者資格試験はどのような内容なのでしょうか。ここでは、以下の項目に沿って運行管理者資格の試験概要を紹介します。

• 試験の種類と特徴
• 受験資格
• 試験のスケジュール
• 申込手続きの流れ
• 出題範囲と試験科目
• 合格率や難易度の目安

試験の種類と特徴

運行管理者試験には、「貨物」と「旅客」の2つの区分があります。貨物はトラックや物流業が対象、旅客はバスやタクシー業界を対象とした資格で、それぞれ業務内容が異なります。そのため、物流企業で働く人は「貨物」、バス会社で働く人は「旅客」を選択するのが一般的です。

どちらの試験を受けるかは、自分の職場に応じて決めましょう。

受験資格

運行管理者試験は、だれでも受けられる資格ではありません。受験資格として、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

• 1年以上の実務経験があること
• 基礎講習を修了していること

受験資格を満たす方法はさまざまなやり方が考えられますが、未経験から挑戦する場合は、まず基礎講習を受講するのが一般的なルートです。

試験のスケジュール

年に2回3月頃と8月頃に実施されます。受験を考えている場合には、どの日程で試験を受けるか決めておきましょう。受ける試験の日程が決まることで、学習計画も立てやすくなるはずです。

申し込みは、試験の3ヶ月程度前に締め切ってしまうケースも少なくありません。受験する日程を決めたら、早めに申し込み期間を確認しておきましょう。

申込手続きの流れ

インターネットまたは郵送で行えます。郵送で申し込む場合には、専用の申請用紙が必要です。申請用紙は、各都道府県のトラック業界、バス業界、タクシー業界団体や運行管理者試験センターで1,050円で購入できます。

インターネット申し込みの場合はシステム利用料が660円かかりますが、申請用紙よりも安く購入しに行く手間も発生しないため、可能であればインターネットから申し込みをした方がよいでしょう。

受験手数料は6,000円です。コンビニ、クレジット、またはペイジーで支払ってください。

出題範囲と試験科目

「貨物」と「旅客」ではそれぞれの出題範囲が異なります。貨物の場合、出題されるのは以下の分野です。

• 貨物自動車運送事業法関係
• 道路運送車両法関係
• 道路交通法関係
• 労働基準法関係
• その他、運行管理者業務に必要な実務知識や能力

一方、旅客に関する試験では、以下の分野から出題されます。

• 道路運送法関係
• 道路運送車両法関係
• 道路交通法関係
• 労働基準法関係
• その他、運行管理者業務に必要な実務知識や能力

試験に合格するには、全体で60%以上の得点を取らなければならないだけでなく、各項目で1問以上（最後の項目は2問以上）正解しなければなりません。出題範囲を踏まえたうえで、学習を進めましょう。

合格率や難易度の目安

合格率は年によって差がありますが、大体30〜40%程度です。やや難易度が高めの資格試験だといえるでしょう。

合格率からみると、3〜4人に1人が合格する試験であるため、基礎知識がある人なら十分に合格できます。ただし、範囲が広く独学では対策が不十分になりやすいため、計画的な学習が必要です。

過去問を活用し、出題傾向をつかんで学習を進めてみてください。

運行管理者資格でキャリアの幅を広げよう

運行管理者資格は、運送業界での業務の幅を広げ、安定した仕事を確保するために役立つ資格です。

昇進・給与アップの可能性、仕事の選択肢の増加などを考えると、取得する価値は十分にある資格だといえるでしょう。特に、今後も運送業界で活躍したいと考えている人にはおすすめです。

資格取得を目指すのであれば、学習計画をきちんと立て、早めに対策を始めましょう。