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自動車運行管理ラボ

2026.09.23

カテゴリ:運行管理

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病院の職員送迎にバスを導入するメリット|夜勤対応と採用力向上につなげる方法

病院の送迎バスというと、患者を自宅と病院のあいだで運ぶ車を指すことがほとんどです。ただ、夜勤の交代時刻に電車もバスも動いていない、職員用の駐車場が足りない、通勤の不便さで看護師の応募が集まらないといった事情を抱えている病院もあります。こうした病院では、職員の通勤のための送迎バスを検討するケースもあるでしょう。職員向けの送迎バスと患者の通院送迎とでは、走る時間帯も乗る人も異なります。

この記事では、スタッフ向けの送迎バスが必要になる理由から、職員の負担軽減と採用への効果、外部に委託するときの進め方までをまとめました。職員の通勤手段をどう用意するか検討している方は、ぜひ参考にしてください。

病院にスタッフ向け送迎バスが必要になる理由

病院の職員は、外来が動いている日中以外の時刻にも出勤します。ここでは、スタッフ向けの送迎バスが必要になる理由を3つの角度から説明します。

患者用の送迎バスでは職員の出退勤の時間帯をまかなえない

病院が用意する送迎バスには、患者を運ぶものと、職員を最寄り駅や住宅地から運ぶものの2種類があります。患者用は外来の受付時刻に合わせた日中の運行、職員用は交代時刻に合わせた早朝と深夜の運行です。患者用の運行表をそのまま職員用に使うことはできません。早朝と深夜の便を足すと、車両の稼働時間もドライバーの拘束時間も、日中の運行とは別に必要になるためです。

職員の通勤送迎そのものにも相談が寄せられています。当社が2021年度から2026年7月までに受けた問い合わせは2,644件です。うち用途が「従業員」にあたる相談は423件で、全体の16.0%を占めます。患者の通院送迎とは別のカテゴリとして集計しているため、患者を運ぶ相談は含みません。病院の通勤送迎にも、需要があることがわかるでしょう。

夜勤の交代時刻には公共交通機関が動いていない

病院は24時間体制で診療を続けるため、職員の出退勤は日中の通勤ラッシュとは別の時間帯にも発生します。たとえば日勤8:00〜16:30、準夜勤16:00〜0:30、深夜勤0:00〜8:30という勤務体系が考えられるでしょう。

準夜勤を終えて0:30に退勤する職員と、深夜勤で0:00に出勤する職員は、電車とバスが動いていない時間帯に移動します。ガイドラインは、夜勤の前後の通勤時の安全にも十分な配慮を病院に求めています。職員が自分で運転せずに通勤できる手段をどう用意するかは、病院側で決めなければなりません。

自院の勤務表の始業と終業の時刻に、公共交通機関が動いているかを確かめてみてください。

看護職員は働き続けたい理由の1位に通勤の便利さを挙げている

厚生労働省の「看護職員就業状況等実態調査結果」(平成22年度実施)では、現在の施設で働き続けたい理由を看護職員に聞いています。最も多く挙がったのは「通勤が便利だから」で、「人間関係がよいから」を上回りました。

再就職先を選んだ理由でも「通勤が便利だから」が1位です。退職理由でも「通勤が困難なため」が「夜勤の負担が大きいため」より多く挙がりました。これらの結果を見ると、看護職員が就業先を選ぶときに通勤の条件を上位に挙げる傾向があるとわかるでしょう。

職員の定着を考えるのであれば、通勤手段が使いやすいかどうかを一度点検しておく価値があります。

スタッフ送迎バスの導入で得られる職員の負担軽減と採用への効果

スタッフ向けの送迎バスは、職員が通勤に使うだけでなく、求人票に書ける条件にもなります。ここでは、導入によって得られる効果を2つ説明します。

夜勤明けに自家用車を運転して帰る職員を減らせる

深夜勤を終えた職員は、睡眠が足りないまま自分で車を運転して帰ることになります。居眠り運転による事故が起きた場合、職員本人がけがを負い、病院は欠員を補充することになります。日本看護協会のガイドラインがタクシー代の支給を対策に挙げているのも、夜勤明けの運転を避けるためです。

送迎バスを走らせれば、深夜と早朝に自分で運転する職員の人数を減らすことが可能です。タクシー代の支給と考え方は同じですが、同じ時刻に帰る職員が複数いる場合には、1人あたりの費用を抑えられます。

夜勤明けに退勤する職員が何人いるかを数え、そのうち何人が自家用車で通っているかを確かめておかなければなりません。

通勤手段を理由に応募を見送る方の取りこぼしを防げる

求人票を見た時点で「終電がないから通えない」と判断し、応募をやめる方がいます。通勤手段を理由に応募をあきらめた方は病院側の記録に残らないため、募集要項を書き直しても、その方たちには届きません。

日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」では、看護職員を確保するために病院が勤務の条件を変えていることが示されています。病院が導入している働き方は「日勤のみ」が54.7%、「夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる」が44.1%です。

送迎バスを走らせる場合、病院は勤務シフトの組み方をそのままにして、通勤の条件だけを整えられます。夜勤に入れる職員を減らさずに募集条件を足したいのであれば、勤務形態の見直しに入る前に送迎バスを検討しましょう。

スタッフ送迎バスの運行を外部に委託するときの進め方

運行にかかる管理業務まで院内で抱えるのが難しい場合、病院は外部の事業者に委託できます。ここでは、スタッフ送迎バスの運行を委託するときの進め方を説明します。

委託を検討する前に自院で運行する場合の負担を洗い出す

自院で車両を持って走らせる場合、病院は車種のほかに便数と車両の大きさも決めることになります。便数は乗る人数ではなく交代時刻の数で決まり、三交代制であれば始業と終業で1日に6つの運行時間帯ができます。車両の大きさは乗る人数で決まり、10名まではワンボックスタイプ、11〜21名は小型から中型のマイクロバスが目安です。22〜29名では29人乗り前後のマイクロバス、30名を超えると大型バスです。

さらに、乗車定員11人以上の車を1台でも持つと、病院は事業所ごとに安全運転管理者を選ばなければなりません。警察庁の「安全運転管理者制度の概要」が選任の基準としているのは、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはそれ以外の自動車を5台以上使っている事業所です。安全運転管理者は、職員に点呼をとって疲れの有無を確かめ、アルコール検知器でお酒が残っていないかも確認します。深夜と早朝に走らせる職員送迎では、確認を担当する人も勤務表に組み込まなければなりません。

自院で運行するのであれば、車両費とドライバーの人件費に加えて、管理業務を担う人手まで費用に見込んでおきましょう。

車両は自院に置いたまま運行管理とドライバーだけを委託する

送迎業務を委託する際には、すでに持っている車両を使って運転と運行管理だけを任せることも可能です。当社に寄せられる従業員送迎の相談でも、車両は自社で保有またはリース済みで、運行管理とドライバーだけを委託したいという内容が少なくありません。

外部に送迎を委託する場合、ドライバーが欠勤したときの代替要員の手配、点呼と記録の保存が委託先の担当です。ドライバーを院内で採用し続ける必要もなくなります。

すでに送迎用の車両を持っている病院は、いまの車両のまま委託業者に任せられるかどうかを先に確かめておくと、不要な買い替えを避けられます。

対応エリアと運行時間帯を確かめ、前年の秋のうちに相談する

送迎代行の事業者は、多くの場合対応できるエリアを決めています。まずは、自院が対応エリアに入っている委託業者を探してみましょう。

当社への問い合わせを用途を問わず月別に見ると、2022年度から2025年度までの4年間の合計で、最も少ない4月が125件、最も多い10月が187件と、約1.5倍の差があります。

問い合わせの最初に自院の所在地と運行したい時間帯を伝えましょう。4月の運行開始を目指すのであれば、見積もりの取得から車両の手配とルートの作成までを逆算して、前年の秋のうちに動き始めましょう。

病院はスタッフ送迎バスの検討を交代時刻の洗い出しから始める

夜勤の交代時刻には公共交通機関が動いておらず、看護職員は働き続けたい理由の1位に通勤の便利さを挙げています。患者の通院送迎とは別に職員向けの送迎バスを走らせれば、夜勤明けに自分で運転して帰る職員を減らせるはずです。通勤手段を理由に応募を見送る方の取りこぼしも防げます。

自院で運行する場合は、交代時刻から便数を決め、人数に合った車両を選ぶことになります。乗車定員11人以上の車を持つのであれば、安全運転管理者も選ばなければなりません。

まずは勤務表から始業と終業の時刻を書き出し、同じ時刻に集まる職員の人数を数えてみましょう。外部委託で4月の運行開始を目指すのであれば、前年の秋のうちに問い合わせておきましょう。

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