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自動車運行管理ラボ

2022.10.20

カテゴリ:運行管理

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オンデマンド交通とは?予約制乗り合わせ交通システム導入のメリット

オンデマンド交通とは

オンデマンド交通とは、予約制の乗り合い交通システムです。

近年導入が進んでおり、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

導入例や課題についても解説しているので、オンデマンド交通の導入を検討している方は是非参考にしてください。

オンデマンド交通とは?

オンデマンド交通は、タクシーとバスのメリットを合わせた交通システムです。時刻・場所・路線の1部もしくは全てにおいて柔軟性を持たせ、乗り合いで目的地に移動できます。

公共交通機関が整備されていない地方では、バス路線を廃止しオンデマンド交通に切り替える地域も増えてきました。

「デマンド交通」「乗合タクシー」「オンデマンドバス」などがありますが、「オンデマンド交通」と同様の公共交通サービスを指します。

組み合わせ別4種類のシステム

オンデマンド交通は、路線設定によってシステムが異なります。

オンデマンド交通とは

引用:オンデマンド交通の運行パターン(出典:竹内龍介,吉田樹: DRTの運行特性と適用範囲の考え方について,土木計画学研究・講演集,Vol.34, CD-ROM, 2006.)

Fixed は予約制のバスに近い形で、路線や時刻表は決まっているが予約が入った場合にのみ運行します。

RouteDeriationは、通常のバスのように固定の路線・時刻表が決まっているが、プラス迂回経路があり、予約があれば追加で走行します。

Semi-Dynamicは、起点と終点のみ決まっておりその他のルートは予約に従い運行します。時刻表は、始点出発時刻のみ固定です。

Dynamicは、乗合タクシーの形での運行が特徴です。時刻表や路線は固定されず利用者によって決められます。

タクシーとの違いは?

オンデマンド交通とタクシーの違いは、移動範囲と予約制・乗合の部分です。

オンデマンド交通のなかには路線を指定せず運行するシステムもありますが、ほとんどの場合その地域内での移動が目的のため、タクシーのように距離が関係なく移動できるわけではありません。

また、オンデマンド交通は予約が必須です。予め決められた方法で予約をしなければ乗れないという部分もタクシーとは異なります。個別での利用は不可のため、他者との乗合が基本です。

「時刻表・路線が柔軟なバス」「地域限定の乗合タクシー」という、バスとタクシーの中間的な位置づけです。

導入する目的とメリット

利用客の目的に合わせて柔軟に対応できるオンデマンド交通だからこそのメリットが多くあります。

高齢者・観光客の移動手段

公共交通機関が整っていない地方では、観光客の移動手段としての役割も果たします。

また高齢者の買い物や通院での移動手段としても活躍します。

バスや鉄道は通学・通勤には便利ではありますが、高齢者の買い物目的には停留所から目的地の移動が大変などといった問題点もあります。

オンデマンド交通を導入することでこのような「買い物難民」といわれる方々の生活を支えることが可能です。

交通機関の支援

バス会社やタクシー会社がオンデマンド交通を導入することで、利用客の増加が予測されます。

実際に従来の路線を廃止しオンデマンド交通が導入された地域では、従来の路線バスの利用者数を上回るケースもあり、従来の路線では対応できない地域間での移動や、保健福祉会館への移動が増えることで利用者が増加傾向にあります。

都市部の環境問題

オンデマンド交通の特徴である乗合をすることで、渋滞の緩和や排気ガス減などの環境問題の取り組みにもなります。

観光地での移動にタクシーを利用する方も多いですが、オンデマンド交通を利用することで1台で2組以上の対応が可能になるためです。

そのためオンデマンド交通というと過疎地域で活躍するイメージが強いですが、都市部でも新たな交通手段として活躍しています。

またタクシーと違い乗合であるため、利用料金が安いことも利用者には嬉しいメリットです。

高齢者のみを対象とせず、観光目的の若者や家族連れなどでも料金面から利用しやすい環境を整えられます。

町づくり

オンデマンド交通は予約情報や運行情報を管理するため、ほかの地域サービスと連携しやすいというメリットがあります。

たとえば、地域の医療機関などと連携し定期通院の日時に合わせ自動的に予約を手配するサービスを導入することで利用客の増加を見込めます。

またこのような乗客のデータを分析することで利用者の行動パターンや習慣を把握することが可能になり、地域全体の傾向をつかめます。

単なる交通手段だけではなく、オンデマンド交通の導入をすることで個人に適したサービスの展開や便利で安心な町づくりに発展させられるのです。

三重県の導入例

三重県玉城町では、1996年に民間バス会社の路線が大幅に縮小されました。

それを機に翌年から自治体主導で路線バスの運行を開始しましたが、1日19便運行していた29人乗りバスの平均乗客数は約4,5人と利用客が少ない状況でした。

2009年にオンデマンド交通を導入し、毎日午前9時〜午後5時の間、町内にある170箇所のバス停間を移動、料金は無料とし予約は電話もしくはインターネットで2週間前から利用の30分前まで受け付けることにしました。

導入後登録者は毎月10〜20人ほど増加し、2016年6月1日時点では、1日あたり約110人の方が利用しています。

乗降場所としては町の中心部にある保健福祉会館が多く、近隣にはドラッグストアやスーパーが立ち並ぶため、地域の移動手段として活躍中です。

また、以前の路線バスでは未対応地域への移動も確認されており、交通空白地域・不便地域の解消に役立っているといえます。

玉城町のように、従来の路線バスが廃止・縮小を機にオンデマンド交通を導入することは多く、これまでバスを利用していなかった方や、他の移動手段を利用していた方も導入を機に積極的に利用していることが分かります。

保険福祉施設ではイベントが開催されることも多いため、停留所にそのような施設を入れることで利用者の定着にも役立つでしょう。

利用定着への取り組みが重要

オンデマンド交通は認知度・利用定着が大きな課題です。

利用定着への取り組みは様々ですが、ここでは代表的な3つについて解説します。

広報活動

まずはオンデマンド交通とは何かということを知ってもらう必要があります。

導入を開始してもそもそも認知されていないといった問題もあるかもしれません。

認知度を高めるには、地域広報にチラシを入れる・自治会を利用して利用を促すなどが挙げられます。

バス・タクシー・鉄道に代わる移動手段の一つとして理解を得ることが重要です。

利用の方法や予約方法をわかりやすく記載することも必要です。時刻表が決まっている場合は、時刻表も記載すると良いでしょう。

体験乗車の実施

利用定着の取り組みとして、体験乗車会なども有効です。

初めて利用するものには抵抗がある方も多いので、ハードルを下げるためにも体験会を行うと利用者の増加が見込めます。

保健福祉会館や地域のスーパーなどと連携して行うことで、集客効果も見込めます。バスよりも身近で乗りやすい交通手段として認知してもらうことが重要です。

地域との連携

広報活動と体験乗車の実施に被りますが、地域のスーパーや医療施設との連携することで利用定着に繋がります。

特に保健福祉会館や医療施設は定期的に通う方が多いので、従来のバスやタクシーではなく新しい移動手段として、オンデマンド交通の利用を促してもらう・通院に合わせて予約が自動で出来るシステムを導入するなどが有効です。

オンデマンド交通導入はメリットが大きい

オンデマンド交通は、予約制の乗合交通システムです。

利用者・地域・導入会社にはメリットがとても大きいシステムですが、導入には予約受け付け方法の検討や始点終点の決定などさまざまなシステム構築が必要です。

ぜひ地域活性化のために、オンデマンド交通をご検討ください。

 

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