2023.04.20
カテゴリ:運行管理
タグ:自動運転
自動運転に対する世界の状況は?世界各国の法整備についても紹介
最近、自動運転に関するニュースを聞くことが増えたと感じる方もいるでしょう。日本でも無人のバスが運行されるなど、自動運転の技術は日々進歩しています。日本だけでなく、世界でも同様に技術の進化が著しい分野です。
自動運転の普及とともに、自動運転車が公道を走行するためには法整備が欠かせません。そのため世界各国では、自動運転車に対応するための法整備も進められています。
この記事では、自動運転に関する世界の状況を紹介。さらに、世界各国の法整備についても紹介します。自動運転の状況について知りたい方はぜひご覧ください。
自動運転に対する世界の現状
欧州をはじめとした主要各国では、自動運転の一部である「衝突被害軽減ブレーキ」はほぼ標準装備となりつつあります。「衝突被害軽減ブレーキ」とはいわゆる自動ブレーキ機能のことで、衝突しそうな場合に警告音を鳴らすとともに、警告音でもブレーキ操作が行われない場合には自動的にブレーキを作動させる機能です。
日本では2021年11月から国産の新型車には衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務化されています。輸入の新型車や継続生産車についても、2026年7月までに順次搭載が義務化される予定です。
欧州では2024年7月から新車を対象として被害軽減ブレーキの搭載が義務化されます。アメリカや中国、インドなどは規則制定に参加していませんが、今後日本や欧州が自動ブレーキ非搭載車両の輸入を規制すると、自動ブレーキ搭載車の開発が進む可能性があります。
市販車では、現在自動運転レベル2と呼ばれる水準の車が主力となりつつあります。自動運転レベル2とは「車線からはみ出さず前の車に追従して走る」「前に速度が遅い車がいれば追い越す」といったように、アクセルやブレーキと、ハンドル操作を組み合わせて自動で操縦できる機能のことです。レベル2の機能が搭載された車では、運転中にハンドルから手を離す「ハンドオフ」が実現できます。
また、自動運転レベル3の機能が搭載された自動車も販売された実績があります。レベル3とは、システムがすべての運転タスクを実行する水準ですが、システムから要請があった場合、ドライバーはただちに運転を交代しなければなりません。
レベル3は、緊急時や想定外の場合のみドライバーの対応が必要な自動運転であるため、ドライバーの油断を生みやすいとされています。そのため、世界の自動車メーカー各社は、システムが運転し、危険な時にはシステムが判断して安全に停止できる「レベル4」の開発に注力しています。
段階 |
機能 |
運転主体 |
走行領域 |
レベル0 |
運転自動化なし |
ドライバー |
– |
レベル1 |
運転支援 |
ドライバー |
限定的 |
レベル2 |
特定条件下での自動運転機能 |
ドライバー |
限定的 |
レベル3 |
条件付き自動運転 |
システム |
限定的 |
レベル4 |
特定条件下における完全自動運転 |
システム |
限定的 |
レベル5 |
完全自動運転 |
システム |
限定なし |
参考:自動運転のレベル分けについて|国土交通省
自動運転の各レベルの詳細については、別記事「自動運転のレベルとは?各レベルの詳細と自動運転の現状を解説」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
自動運転に関する世界の法律
自動運転技術を活かした自動車を走行させるためには、法律の整備が欠かせません。そこでここからは、自動運転に関する世界の法律を紹介します。
アメリカ
アメリカでは州によってすべての法律が異なります。そのため自動運転に関する法律も、州によって差があります。
例えばアリゾナやカリフォルニア州では、自動運転技術を使ってビジネスを行う企業が多いこともあり、実証実験の数は多い傾向があります。
とはいえ、とくに自動車での移動では州をまたぐケースも多くあります。州をまたぐたびに、その州の法律に合わせて対応を変えなければならないというのは現実的ではありません。そのため、連邦政府(国)による統一基準の制定を求める声も多くあります。
ドイツ
ドイツには「自動運転法」と呼ばれる法律があります。自動運転法の中には「自動運転」という言葉のほかに「自律運転」という言葉も出てきます。自動運転とはドライバーがいなければ走行できないもの、自律運転とは自動車だけでも走行できるものです。
自動運転法では、自律運転機能を備えた車両は次の条件を満たせば走行可能です。
- 技術要件を満たしていること
- 運行許可を得ていること
- 公共道路での走行許可を得ていること
また、開発途上の自動走行車両をテストするためには、ドライバーや技術監督による立ち会いと監視が必要です。
中国
中国では、資格のある企業であれば公道や高速道路上で自動運転の試験実施が認められています。また、北京など一部地域では、無人での自動運転タクシーの運行も始まっています。完全無人運転は地方によって規制の状況が異なり、完全に無人で運行できる場所もあれば、後部座席にドライバーが座っている必要がある地域もあります。
中国では国の政策として自動運転車の開発に力を入れていますが、実際に全国で走行するための法整備はまだこれからと考えてよいでしょう。
日本
日本では、自動運転による走行も法律で「運転」と位置づけられています。そのため、システムが適切に判断できるのであれば、自動運転レベル3の車は公道を走行可能です。
ただし、システムが警告を発した場合にはすぐに運転に戻れる状態での走行のみ認められているため、居眠りや飲酒状態で運転席に座ることは認められていません。また、道路交通法違反が発生した場合に備えて、記録装置を作動させておく必要もあります。
また、運転席を完全に無人にできるレベル4の自動運転は、公安委員会の許可を受けた事業者のみが実施可能です。レベル4の自動運転を実施するには、特定自動運行実施者に課された義務の遵守が必須です。
世界では自動運転に関する法律の整備が進みつつある
日本やヨーロッパでは新型車両に自動ブレーキの機能を義務付ける動きが出ています。アメリカは中国では義務づけには至っていませんが、今後日本やヨーロッパで自動ブレーキが搭載されていない車の輸入を禁止すると、実質的にすべてのメーカーは自動ブレーキ技術を搭載せざるを得ない状況になることも考えられます。
世界各国では自動運転に対応するための法律の整備も進められている状況です。ただし、中国やアメリカは地域によってルールが異なるなど、これからさらなる整備が必要な部分も多くあります。
また、日本ではレベル4の自動運転車の走行は非常に限定された条件でのみ認められており、ドライバー不在で走行できる市販車が公道を走れるようになるためにはまだ時間がかかるでしょう。
自動運転は進化が速い技術でもあるため、最新の知識を得るためにはこれからも随時情報を確認してみてください。
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